創造主は自分の力に気がついたようです
【5日目】
目が覚めて、魚を取って食べて寝る。
「来い」と呼ぶと本当に近寄ってくるこの魚はちょっと、人懐っこ過ぎないだろうか。
食事を終えたらすぐに寝るようにしていた。
今後について考えると、孤独を感じてしまうからだ。
家族は何をしているのだろうか……
【6日目】
強い衝撃を受けた。
息をすると肺に入ってくる水、身体の前後左右の感覚を失わせる強い濁流
パニックになり、気がついた時には
見渡す限り断崖絶壁に囲まれた白浜の海辺に横になっていた。
立とうとするも、ガクガクと震える手足
喉から出てくる枯れ果てたような「み…ず……」
口の中に突然入ってくる水
「ごぉぁ!げぇっ…なんなんだ!!!いい加減にしてくれ!!」
つい先程のように思い出せる、水中体験をフラッシュバックさせパニックを起こしかけるが、現れた水は既に砂浜に溶け込んでいた。
一息ついて考える、今目の前で起きた現象は一体なんなのか
ふと思い出す、宙に映る文字との最後のやり取り
僕は3mはある、大きな流木に向かって言った
「燃えろ」
流木は大きく燃え上がり、近くにいた僕は熱風に撫でつけられながら
重く沈み込むように砂浜に崩れ落ちた。
【9日目】
あれから色々試していた。
宙に映る文字が言っていた、言葉とは
『喋った事が実現する』能力であった。
チート過ぎるにも程があると思ったが、どうやら起こす現象が大きいほど、僕に負荷がかかるのか、気力が抜けていくので、炎を出す場合は精々が6日目に燃やした、3m程の物が限界のようだ。
7日目に、8m程あるヤシの木を燃やそうとして気を失ったが、下4mほどの表面が焦げていたので、限界突破しようとしても出来る事以上は無理、途中までは効果あり
という事が分かった。
今日は人を探しに旅に出る。
空に映る文字とのやり取りが、本当であれば獣人などの人型生物が存在するはずだ。
1人じゃない、孤独は嫌だ。
幸い、流されてきた川の河口は近くに見える
酷い体験をしたが、生み出せる現象に限りがある以上、飲水の確保をする為に川の近くを進まなくては。
大丈夫、悪いことばかりじゃない。
人が定住している場所があるのなら、それは水の確保が出来る場所であるはずだ
川沿いは悪い選択肢じゃないはずだ
孤独に蝕まれながら、自分に言い聞かせるように僕は歩いていく
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