創造主は必死に生きているようです
【1日目】
目が覚めた時、夢じゃないと分かった。
まぶたを開けて1番に飛び込んできた鮮明な緑はあまりにも眩しくて、今体験しているコレが、明晰夢だなんて考えはすぐに消え去った。
高校2年生の男、産まれたままの姿で仁王立ち
この爽快感を僕は忘れてない。
とは言え、目の前にあるのは木だけで心細くなった僕はアテもなく周囲を散策した
体感で3時間ほど歩いてやっとの事、川を見つけて多いにはしゃいだ。
近場の枯れ木を川辺に並べて、疲れていた僕は夕日の赤をまぶたの裏に見ながら眠りについた。
【2日目】
強い日差しを浴びて起きた。
川の水量が昨日に比べて減っていて、深さ30cm程の所に魚が泳いでいるのが見える
「腹減ったなぁ」
そう口にした瞬間、軽い脱力感と強い空腹感に襲われた。
気合いを入れ直して、1歩、2歩と歩き川に入り
「来い…来い…」足元まで寄ってきた魚を鷲掴みにしてかぶりついた。
川魚は火を通さないと寄生虫が、とかそんな事は頭に無く、口の中を魚の骨で傷つけながらも内蔵まで食べた。
川の水をたらふく飲んで、落ち着いた空腹感に安堵して、昨日作った木の床の上に倒れ込んだ
【3日目】
吐きながら起きた。
吐いて起きたかもしれない。
産まれたての子鹿のように、とはこの時の僕にピッタリな言葉だったと思う。
川の水を飲んでから、気がついたが川の水量がまた減っている
僕が飲みすぎて無くなったら、困るな!
なんて自分の冗談で機嫌を良くしながら川を見ていると魚の群れが見えた。
川辺から4メートルほど離れており、1度手掴みに成功している僕は「来いー、こっちに寄ってこいー」と言った。
本当に寄ってきた魚の群れに心臓を高鳴らせて掴んでは岸に投げて、掴んで岸に投げて、とクマのように5匹もの魚を手に入れた。
自身の見事な漁の腕に
「うおおおおおお!!!!」
テンションぶち上げである。
生で食べて体調を崩している真っ最中である僕は、流石に火を何とか調達して、加熱しなくては不味いと、近場の木材を角と角で擦り合わせる
何かのサバイバル番組で見た方法だが、10分息を切らしながら全力で擦っても煙のケの字も見えてこない。
周囲を軽く散策し、繊維質な植物を入手した僕は、木と木の間にそれを挟み、多少めげながら「いい加減につけよー…」と呟いた時
プスプスと音がなり、火が揺らりとついた。
「よぅっし!」
クラクラと目が回りそうな倦怠感を感じながら、手頃な木の棒に魚を突き刺し並べて
表面が焼けてきて、食べたいという欲求を飲み込んで入念に火を入れてから、5匹の魚を全て平らげた。
いつもの木の床に寝っ転がった。
腹を満たしたら、寂しさを感じ始めた。
この世界には、自分しか居ないのでは無いか
今日までは大丈夫だったが、明日、目が覚めた時は獣に食いつかれているのではないか。
孤独と恐怖が強くなり、小さな物音にビビり大声で叫んだ。
人に慣れていない獣なら、消えてくれると信じて小枝が折れたり、魚が跳ねる音がする度に叫びまくった。
幸か不幸か、叫び疲れたのもあるが食事の満腹感が、睡眠へうまく誘ってくれた。
人に会いたいよ……
川の水位はまだ、下がり続けている。
本日、2回目の投稿です
次回、 本日 17時に更新しまふ!
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