異世界転生しました。
「ヨッシャーーーーーッッ!!!!!」
「な、なんですか!いきなりッ!?」
気づいたら真っ白な雲の上に立ち、目の前には絶世の美女が…
そう。その時悟ったのだ。あっ。これ、転生出来ると。
なら、ならなら、ならならならならなら………
「分かり、分かりますよ!!私は女神だから貴方の心は読めますよ!!
だからといって全力で異世界転生したい!とか早く早く!!とか求めないでください!!!!!」
あれ?なんか引かれているような………
でもこれはライトノベルのお決まりな展開なんだ!!!
これで異世界で俺Tueeeeが出来るんだよ!!!!
「分かりましたからそんな心の声を出さないで!!!」
「す、すみません……」
めっちゃ怒られた。
いや、確かに五月蝿かったかもだけど………
だって、異世界転生だよ?興奮しないほうがおかしいよ……
「おかしいのは貴方ですよ……」
「そうですか?」
「どうして亡くなったのか知りたいですか??」
「全く」
「そういうところですよ………」
だってもう関係ないことだから知ったところでどうしようもない。
ならこの先の明るい未来を見据えて生きていきたいです!!
「もう、いいです……
そうですよ。貴方は異世界転生出来るチャンスがあります」
「ヤッ!!」
「これ以上叫んだら無しです」
「ッッ!………すみません………」
そんなに睨まなくてもいいじゃない……
「はぁー………とにかく異世界転生するでいいんですね??」
「は、はい。お願いします」
「じゃ特典を…」
「あるんですかッッ!!?」
「ありますから騒がないで……もう……」
またため息をついた女神様はいきなり手元に分厚い本をパッと出してきてそれを俺に渡してくれた。
「そこから選んでください。特典は3つまでですよ」
「3つもいいんですか??」
「言っておきますけど特典にもランクがありますから。その中から一つずつですからね」
確かにこの本にはレベル1から3まで振り分けてあり、3が一番特典として高いようだ。本当に色々書いてある。裁縫器用、スピーチ上達、お菓子作りというものから、不老不死、神の目、幻想破壊などライトノベルで見たことのあるようなものまで……
この中からで、自分が選ぶとするなら………よし!
「これで、お願いします!!」
「身体能力向上、魔力量最大値、魔法作成ですか……いいんですかこれで??」
女神様が言いたいことは分かる。
ありきたりなものではあるけどまず身体能力は必要不可欠。どんな場面でも必ず自分自身の力が必要となる。そこで必要なのが己の肉体。身体能力なら力もスピードも反射神経など引っくるめて身体能力。これがレベル1ならかなりいい。
そして魔法量最大値。これがレベル2。
まず魔法と書いてある時点でいまからいく異世界は魔法が使える。なら何より大切な魔力量が多いほうがいい。そして最大値ならどんな魔法でも行使可能だろうということ。
で、ここでレベル3の魔法作成だ。
異世界でも自分が知っている魔法が使えないなら意味がない。なら自分で魔法を作り出してしまえばいいのだ。これならどんな相手もびっくりするし、もしかしたらその異世界において結構いい地位まで登れるかも!!
「はい!お願いします!!」
「……言っておきますけど、本当にいいんですね??」
それは確かに迷いはしたよ。せっかくの異世界ならもっといい特典を持っていってもいい。透明人間になれるとか、世界最高の剣豪になるとか、ハーレム王になるとか……色々考えたけどそんなことをしたらせっかくの異世界の楽しみがすぐに終わるようだったし、なによりやっぱり頑張って強くなるってところが夢があっていいしね。
「………努力ですか…まぁ、そうですね。努力すればいつか叶いますね……」
女神様からのお墨付きまで貰ったらもう大丈夫だ!!
これで行こう!!そうして思う存分異世界を楽しむぞッ!!!!
「はいはい。それじゃいきますよ」
「お願いします!!」
女神様が指をパチンッと鳴らすと目の前に大きな扉が現れた。
真っ白で飾りのない扉。だけど勝手に扉が開きその先には光り輝く渦が待ち受けていた。それを潜れば異世界にいける!!
「あっ。一応転生ですので赤ん坊からですよ。
まあいきなり赤ん坊が前世の記憶を持つなんてキツイようですから10歳児になったら記憶が蘇るようにしてます。特典はその時には使えますよ」
「ありがとうございます女神様!!」
女神様にお礼を言って白い扉へ足を進める。
なんの恐怖感もなく、むしろこれからが楽しみだと思いながら扉の向こうへ消えていく少年を見て女神は
「……絶対に、勘違い……してるわよね……」
意味不審なことをいうが、誰もその声は届かない………
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どうも。異世界転生しました。
田舎であるバレールという村の夫婦の間に生まれました。
名前はエルリール·ファンケルド。親や仲の良い人からは"エル"と呼ばれている。
こうして異世界転生した。ということが分かった10歳。マジで頭が割れるかと思った……誕生日ピッタリにやらんでもいいんじゃないかと……
まぁ、これで魔法も使える!
といってもこの世界はすぐに魔法が使えるわけじゃないらしい。
魔法を使うには魔法を使える人から身体に魔力を流してもらうという工程がいるようだ。そうすることによって魔力回路がスムーズに使えるという。
まぁ、魔法を使える人は多いから父親であるガレスト·ファンケルドから魔力を流してもらうことになっている。
「それじゃいくぞエル」
「うん!!」
楽しい誕生日パーティを終えて友達や両親のいる前でいよいよ魔法を使うための儀式を始める。まぁ、魔力を俺の身体に流すだけだからそんなに緊張はしない。
お父さんに手を握られてそこから魔力を流してもらう。
暖かい何かが身体中を駆け回っている。これが魔力なんだ……
こんな風に魔力を通せば魔法が使える。これから始まるんだ!
僕の異世界転生ライフが!!
「これで魔法が使えるよ。まずは指先に火を出してみようか」
「はい!!」
初めにしては地味かもだけど、僕の魔力量はかなり高いからなー
出しすぎないようにしないと火が炎になっちゃうなー
指先に魔力を集めて……ここで火が出てくるイメージを…
これぐらいの魔法なら詠唱は必要ない。でも「いでよ、火を」ぐらいは言わないと出せないだろうから
「いでよ、火をッ!!!!」
ポッスウッ!!!と、音が出た。
火が出るときはこんか音はならない。というか音なんて出ない。
なのに音が出てきた。それどころか………
「…………えっ??」
僕の指先から、火さえも出てこなかった………