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火花の夜に  作者: ミズノ
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 マコトが亡くなった日のことはよく覚えている。いつもと変わらない一日だった。

 朝、両親は僕に何かを聞きたそうにしていた。通学路にマコトの姿はなく、学校で先生は風邪だと説明した。

 その日のお昼、職員室に来て欲しいと言われた時には、その日の宿題を家に忘れてきたことがバレて怒られるんじゃないかと本気で思っていた。

「昨日、家に帰ってから何してた?」

 担任は穏やかな口調でそう聞いた。僕は本当に何も知らなかった。マコトが車に轢かれて病院にいる話を聞いたのは、その日の夜だった。

 マコトが轢かれたのは秘密基地の近くだった。山の周りを囲むように走る大きな道路があって、マコトそこを横断しようとして轢かれた。僕はの秘密基地の存在が周りの大人に知られたのは、その時が初めてだった。

 僕とミツヤとヒロトは両親からも、先生からも話を聞かれた。けれど僕らは誰も、マコトが一人で秘密基地に行った理由を知らなかった。

 ただ、後になって考えたことがある。あの日、マコトは火花を見に行こうとしたんじゃないかと思う。秘密基地には、懐中電灯や方位磁針、スコップ、古くなったリュックなど、前の持ち主が残していった道具が放置してあった。

 一人で火花を見に行く準備をしていたんじゃないか。もしくは、一人で準備をして僕らを連れて行くつもりだったのかもしれない。

 マコトが轢かれた場所には、「交通事故死亡現場」の看板と一緒に、きっとマコトの母が置いたのだろう花が添えられている。僕はそれ以来、死亡事故の看板を見るたびに、その光景を思い出すようになった。今もまだ、犯人は捕まっていない。

 誰も助けてくれない一人の夜に、この場所に残されたマコトの恐怖を、僕は想像することしかできない。

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