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ショートストーリー 毒にも薬にもならない

作者: 夢前孝行

村瀬はサイドビジネスとして株や投信をやっている。

 仕事はプラスチック加工をする会社の事務員だ。

 パソコン一台あてがわれているので、上司の目を盗んでは株取引をやっている。

 別に金持ちではなかったが、独身の姉が四五才という若さで亡くなり、遺産が転がり込んできた。

 二千万円もの金を遊ばせているより、その内の五百万円を株購入資金としてそれで遊んでいる。今の所トントンでさして儲かってもいないが損もしていない。



 村瀬のようにサイドビジネスに手を出しているサラリーマンはごまんといるに違いない。

 村瀬はたまたま株だったが、村瀬のネット友達はホームページを開き、

そこでアフィリエイトをやって月五、六十万円稼ぐ。

 五年ほど前はまだ七万円ほどだったが、この五年間の内に急成長を遂げ、

今は本業の給与より多く稼いでいる。

 彼から村瀬もアフィリエイトをやらないかと言われていた。

 と言うのは村瀬もホームページを開設していたから、やろうと思えばすぐ出来るよと言われていた。

村瀬はホームページを作っていると言っても、彼のようにHTMLコードを知ってホームページを開いていない。

 ただ単に市販のソフトを買ってきて、それでホームページを作っているに過ぎない。

 彼と違って至って幼稚なのだ。



 その彼が勤めている会社を辞めてアフィリエイト一本で食べていくという。

 そりゃ月五、六十万も稼いでいれば、会社を辞めたって平気だ。

 彼のホームページには一日、三百人は見に来るらしい。

 そこで買い物をして帰るのだからたまらない。

 定年なんてないし、体力が衰える七十や八十になっても出来る。


 

 その彼のホームページに村瀬のホームページもリンクして貰っているのだが、

何せ村瀬のホームページの来訪者は一日一人か二人だ。

 そこで、彼も独立したことだし、ホームページに無駄なスペースがあってはならないと、

村瀬のホームページのリンクをといて、一行でも有効活用して貰おうと、

『私のような毒にも薬にもならないホームページをリンクして貰っているのは気の毒なので削除して、

もっと有効活用してください』

 とメールを打つと、彼から返信が来た。

『毒にも薬にもならないあなたのホームページですが、私の歴史としてあなたのホームページを残しておきます』

 と言うことだった。

 残してくれるのは良いが、村瀬は自分のホームページを謙遜して『毒にも薬にもならない』と言ったのだが、

彼から『毒にも薬にもならないホームページを残しておく』と言われて何か浅く傷ついた。

 何せ村瀬としては自分でも良くできた自慢のホームページと思っていたので……。

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