第二話 夏川涼乃との初対面
しばらくして女神が戻ってきた。後ろには誰かいるようだが、顔ははっきりと見えない。ただ、なんとなく女のような感じがする。背丈が低めで小柄な体型だ。
「はいこちら、あなたと同じ惑星の地球の日本国からこちらに来られた夏川涼乃さんです」
女神がそう言いながら少し横にずれて後ろにいる子を紹介してくれた。また最初会ったときのように上品に振舞っている。俺にはもう本性ばれているのになにを繕う必要があるのだろうか。そこにいる夏川さんって子がいるからか。まったく、どうせそのうちすぐまた素を出して口悪くなるに決まってる。
「どうも。夏川です」
「ああ、どうも如月冬霞です」
お互い軽く挨拶をした。挨拶というかただ名前を言い合っただけだが。夏川さんという方、目が少し赤くなっている。そういえば女神がここが異世界ですと伝えたら、パニックになったとか言ってたっけか?まあ普通はそうなるか。ああそうなんですかと納得する奴はいないだろう。
目が赤くてもきれいな顔立ちをしているのがわかる。まつ毛は長いし目が大きい。きっと美人さんとか言われてもてはやされていたに違いない。
「あのー、夏川さん大変聞きずらいんですが……あなたも、その……死んだんですか?」
「あなた、初対面の人に最初に聞くこととしておかしいでしょ!」
「しょうがないだろう、この状況がまずおかしいんだから。あと君歳いくつ?俺高三なんだけど。いや高三だった、か?」
「女性にいきなり歳を聞いてくる男はろくな男じゃないってお母さん前に言ってたんだけど」
「だから今は状況が違うでしょうが!俺と同じ境遇の人だから色々と知りたかったんだよ。それに俺と同じくらいかと思ったから聞いてみただけで、もっと大人な人だったら聞かなかったよ。」
「……高二よ」
「年下か」
「なに、目がきもいんですけど」
「おい、まず俺を生んでくれた俺の母親に謝れ。それから俺に謝れ」
「ごめんなさい私を見る目がきもかったのでつい」
あれおかしいな、温厚な性格な俺の心に少し怒りという感情が生まれてしまったみたいだな。女神といいこの女共二人はどうも俺の機嫌を損ねるのが上手らしい。
「あーはいはい。そこまでね。そろそろ色々と話し始めたいんですけど……」
女神が俺と夏川の会話を制止してきた。俺も早くその話が聞きたいんだった。くだらないこと言い合っている場合じゃなかった。この地球とは違うこの世界について。あと、俺はこれから何をしていけばいいのかを。