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(幕間)マリーウェザー


眉間に深いシワを寄せた私は、持っていた紙の束を膝の上に置くと大きく息を吐き出した。


「全く‥‥なにをやってるのかしら、あのバカは」


自室で安楽椅子に座り、私は俯いて目を閉じ、眉間のシワに指を当ててグリグリとマッサージした。

エヴァンス邸の使用人全員に主人であるライドネスとアリスちゃんのこれまでの親子関係について書かせた。

膝の上にある紙束がそれだ。

読んでみると、もう呆れるばかりの話がこれでもかというくらい書かれてあった。

先日の女子会でアリスちゃんがどういう状況下に置かれていたかを聞いてはいたが、まさかこれ程とは思わなかった。


これでは完全に育児放棄ではないか。


いったい何が悪かったのか。ライドネスとマリアーネとの結婚か?


私が知るライドネス・エヴァンスという男は、前のエヴァンス伯爵とその夫人、つまりライドネスの両親が視察のため戻っていた領地で災害にあって亡くなり、王都の邸に一人残されていたライドネスが跡を継いだということくらいだ。

その時、ライドネスは僅か9歳だったという。


亡くなった彼の父親には実弟が一人いたが、二十代で流行病で亡くなり、結婚もしていなかったのでエヴァンス伯爵家を継げるのは幼いライドネスしかいなかったのである。

母方の叔父が、彼が成人するまではと助けてくれていたようだが、何か問題があったらしく、今は一切関係を持っていないようだ。

ライドネスは王立学園に通う頃にはもう立派な伯爵家当主であった。


私がライドネスに会ったのは、たまたま父に連れられて王都にあるクローディアの邸に行った時だった。

大人たちに混じって話をしている黒髪の少年を見て私は目をパチクリさせてしまった。

最初に見た印象は、美少年だった。

艶のある綺麗な黒髪に、まるで猫の瞳のような綺麗な緑の瞳の美少年。

前世を思い出した今の私なら、スッゲーと感心し、目の保養だと喜びまくっただろう。

だが、当時の私は初恋の人が忘れられずにいたし、同年代の男なんてガキだとしか思ってなかった。いくら美少年でも、そういう関心は持たなかったのである。

私が驚いたのは、まだ十代前半にしか 見えない少年が、大人相手に貿易の話をしていたことだ。側にいた従姉妹のクローディアに聞けば、彼はエヴァンス伯爵家の当主だという。


話が終わったのか、彼はクローディアに挨拶し、クローディアは私を紹介した。


「マリーウェザー・カーツネルです」


「ライドネス・エヴァンスです」


互いに名乗ってから、私たちはメイドに促されて庭に用意されたテーブルでお茶を飲んだ。

そして、あの日クローディアを交えてお喋りをした時の彼の印象だが。


「はっきり言って無愛想でつまらない男だったわ」


私は目の前に座る男の顔を見て言った。


初めて会ったのが13歳。あれから30年以上が過ぎるが、やっぱりこの男は無愛想だ。

というか、表情筋が死んでいると言った方がいいか。まるで精巧にできた人形のようだ。

もうちょっと不細工だったら、愛想がなくてもまだ可愛げがあったかもしれない。


アリスちゃんと女子会をしてからひと月がたっていた。

とにかく、忙しいとかで、月の大半は王都にある別邸に留まり、帰ってきても三日いればいい方の私の再婚相手だった。

この日、ようやく戻ってきた今は夫のライドネスを捕まえて、私はアリスちゃんと女子会を楽しんだテーブルに彼を座らせた。

用意したお茶もお菓子も同じものだ。


「どう?美味しいでしょ」


ああ、とライドネスはカップに口をつけて頷いた。

本人を前にして、初対面の印象をつまらない男と言い切った私を彼はどう思ったかなんて、そんなことはどうでもいい。


アリスちゃんは今日は、トワイライト侯爵夫人のお茶会に招待されて邸にはいない。

アリスちゃんの婚約者であるサリオン・トワイライトは、とってもいい子だった。

トワイライト侯爵夫妻もいい人たちで、とにかくアリスちゃんを可愛がっているのがよくわかって私はホッとした。

貴族同士の結婚は政略的なことが多いので、気になっていたのだ。


「今回は何日くらい滞在できるの?」


「商談があるので明後日には王都に戻るつもりだ」


そう、と私はニッコリ笑った。


「忙しいのね。でもまあ、今日と明日はゆっくり付き合ってもらえるからいいわね」


なんだ?というようにライドネスはカップを置いて視線を上げた。

相変わらず綺麗な緑色だ。

アリスちゃんの瞳は、透き通るような青い瞳だが。

そういえば、ライドネスとアリスちゃんは似た所があまりない。

母親似といえば、そうかもしれない。アリスちゃんの母親であるマリアーネは金髪で青い瞳だった筈。

ライドネスもアリスちゃんも、赤い髪で生まれたというからそこは父娘なのだろう。

ただ、成長してから、ライドネスは黒髪に、アリスちゃんは金髪に変わったようだが。


成長と共に髪の色が変わるというのは初めて聞いた。

まあ、前世は黒髪黒瞳の日本人だったから、そういうことには縁のない話だったが。


私はテーブルの上に紙の束を置いた。


「あなたとアリスちゃんの調査書類よ」


私がそう言うと、予想していなかったのか、ライドネスの目が驚きに動いた。

ライドネスの表情が動かないのは、やはり9歳で伯爵家を継ぎ、領地の事業も引き継いだことで無理矢理大人にならなければならなかったせいではないかと私は思う。

たかが子供、隙あらば潰そう、財産を奪い取ろうとする大人たちを相手にしていれば、自然に子供じみた表情はなくなるのかもしれない。同情はする。


だが、それでアリスちゃんに対する行為が許されるわけではない。


「単刀直入に聞くわ。ねえ、ライドネス、あなた、アリスちゃんを自分の娘とは思ってないのかしら。前の奥様だったマリアーネ様とあなたは上手くいってなかったようだけど、だから生まれたアリスちゃんは自分の娘じゃないとか思ってたんじゃないの?」


いや、とライドネスは首を横に振った。


「そんなことはない。マリアーネが貴族の男たちに好意を持たれていたことは知っていたが彼女が私以外に靡かないことはわかっていた。だから、アリステアが自分の娘だということに疑いをもったことはない」


「あら、よく分かってるじゃない」


ライドネスと結婚したマリアーネとは話をしたことはないが、噂はよく耳にしていた。

出会いは12歳の社交界デビューの時だったらしい。

マリアーネが彼に一目惚れし、積極的にアタックしてきたのだという。

当時、ライドネスはクローディアと一緒にいることが多く、そのせいで私の従姉妹はマリアーネに目の敵にされていたらしい。


華やかな美貌のクローディアは、社交界では紅薔薇と呼ばれ、そして、まるで月の女神のような凛とした美貌だといわれたマリアーネは白薔薇と呼ばれていた。

ライドネスを巡る二人の美姫の戦いは、当時の社交界をかなり賑わせていたようだ。


ようだ、というのは、私が余り社交界には顔を出さなかったせいだが。

デビューしてから数回夜会に参加したが、慣れない人付き合いに神経がやられ、王立学園に入学するまで領地の邸に引きこもっていたのだ。

今思うと、あの頃の自分は繊細だったなと思う。


分岐点はやっぱり前世の記憶を思い出した辺りだろうか。


「でも、自分の娘とわかっているのに、余りに無関心すぎないかしら。貴方が、アリスちゃんのことを頼むって頭を下げるのを見た時、ほんと、娘が可愛いんだなあ、と思ったのよ私」


頭を下げる時も無表情だったが、昔からこういう男だと知っていたから気にしてはいなかった。ミリアから話を聞くまでは、普通の父娘だと思っていたのだ。


「で、聞くけど、アリスちゃんが生まれてから顔を合わせたのは何回くらいかしら?ああ、それより、アリスちゃんを抱きしめたことある?今もすごく可愛いけど、赤ちゃんの時はもう天使みたいに可愛かったと思うけど、抱っこしたことあるの?私が集めた報告書には、全くそういう記述がないんだけど」


ライドネスは黙っている。やっぱり覚えがないのだろうか。


「アリスちゃんが今何歳か知ってる?」


「12歳だ」


ああ、それはわかってたか。


「12年間、顔を合わせたのは数えるほどで、抱っこも抱きしめたこともない。それで合ってるわね」


「私は責められているのか」


「当たり前じゃない。可愛い娘のことを話題に、楽しくお話してるとでも思った?」


「‥‥‥‥怒ってるのか、マリーウェザー」


「かなり怒ってると思って間違いないわよ、ライドネス。気に入らなければ、離婚してもいいけど、今日は言いたいこと言わせてもらうから覚悟していて」


ニコリと笑うと、仮面のような男の表情が少し引きつったように見えた。

もう、この男の表情筋は退化して動かないかもしれないなあ。


「マリアーネ様との関係がどうだったかは今は聞かないわ。あなたのアリスちゃんに対する無関心さは彼女との関係にもあったとは思うけど、それを今問い詰めても仕方ないから」


「‥‥‥‥‥‥」


私は手の中の紙束をパラパラとめくってから、目の前の男の顔を真っ直ぐに見た。

知らない人間が見れば、夫の浮気を調べた奥方が報告書を手にこれから問い詰めようとしている図、に見えなくもないだろう。

が、ここは男の家であり、周りに第三者はいない。

そして、私が聞きたいのは浮気ではなく、彼の実の娘に対する扱いについてだ。

ライドネスが、嫁ぎ先から追い出され行き場所を無くした昔馴染みを保護し妻としたのに、この態度はなんだと怒りもせず、席を立つこともしないのを見て、私はふむ、と頷いた。


悪い男ではないのだ。だが、育児放棄は断じて許せることではない。


「アリスちゃんに餓死の危険性があったことを、貴方は知ってるのかしら」


「餓死?なんだそれは」


「母親が育児放棄していたことに気づいてた?彼女は生まれた娘を腕に抱くことすらしなかったそうよ。それどころか、娘のことを嫌って同じ邸にいるのに会うこともせず、たまたま邸内で会っても見もしなかったらしいわ。母親の代わりにアリスちゃんの面倒を見ていたのはアンナという侍女だったそうだけど、貴方がクビにしたそうね。それでアリスちゃんの世話をする者が居なくなったため、マリアーネ様付きのメイドや使用人が仕事の合間に世話をするようになったそうよ。だから、忙しい時はよく食事を忘れられて、アリスちゃんはお腹を空かせて泣いてることが多かったみたい。わかっていても、つきっきりで世話が出来ないからアリスちゃんはいつも一人ぼっち。貴方は帰ってきても、アリスちゃんの顔を見に行くこともしなかったんでしょ?使用人達は、貴方が帰ってくるとさらに忙しくなるから、アリスちゃんの世話をする暇もなかった。使用人が食事を持っていくと、アリスちゃんはいつもシーツに包まってベッドに蹲っていたそうよ。お腹が空いてももう泣きもせず、じっとして誰かが来るのを待っていたみたい」


ライドネスは、私の話を聞き、ガラス玉のような緑の瞳を瞬かせた。


「一年くらいして、ミリアがメイドとしてやってきてアリスちゃんの面倒を見るようになったから餓死は免れたようだけど」


「‥‥‥‥‥」


「どういうつもりで、アリスちゃんの世話をしていた侍女をやめさせたのかしら。アリスちゃんには愛情を感じてないから、別に死んでも構わないとでも思った?」


「そんなことを思うわけはないだろう。あの侍女がアリステアの面倒を一人でみてるなんて知らなかったんだ。あの侍女は私に、少しでいいからアリステアに会って抱いてやって欲しいと言った。あの頃、鉱山で事故があって私はその対処に追われていた。なのに、マリアーネが邸に戻ってこない私に文句を言いに王都の別宅に押しかけてきた。マリアーネは戻らないならそのまま王都に残ると言い出したので、私は仕方なく彼女を連れて邸に戻ったんだ。だが、問題は次々と起こり頭を悩ませていた時に、アンナという侍女がアリステアのことを少しは考えてくれと言ってきたんだ」


「それでカッときてクビにしたのね。完全に八つ当たりじゃない。貴方も普通に人間だったのね。感情のない、ロボットかと思ってたわ」


「? ろぼっと?」


「人形という意味よ。で、貴方がアンナをクビにしたせいで、アリスちゃんは何度も餓死しかけていたというわけね。よくわかったわ」


「マリーウェザー。君は私を責めて何がしたいんだ」


「別に何がしたいわけじゃないわ。ただ、私はアリスちゃんが大好きなの。あんな可愛い子いないもの。お腹の子と同じくらい守りたい娘だと思ってるわ。ああ、ライドネス、貴方のことは嫌いじゃないのよ。拾ってくれたことには感謝もしてるし。貴方がアリスちゃんに愛情を持てない事情もわからないわけでもないの。理解はできないけど」


私は持っていた報告書をライドネスの前に置いた。


「気が向いたら読んでみて。貴方の知らないアリスちゃんの成長記録よ。ほんと、こんな境遇なのにいい子に育ってるわ。将来は絶世の美女確定なのもいいわね」


ライドネスはテーブルに腕をのせたまま、じっと目の前の紙の束を見つめていた。


「ライドネス。私は、アリスちゃんに対する態度を変えろとは言わないわ。だって、今更でしょう?」


「今更なのか‥‥」


「そう。今更よ。だって、アリスちゃんにはもう婚約者がいるんでしょう?向こうのご両親はアリスちゃんのこと本当の娘のように可愛がってるって言うし、既に貴方の出る幕はないわ。それに、今更どう接していいかもわからないんじゃない?だったら、何もしない方がいいわ。下手なことされたらアリスちゃんも困っちゃうわよ」


ライドネスは、下を向いたままフッと息を吐いた。


「あら?ため息?」


私は珍しいという顔で彼を見た。


「私でも溜息を吐くことはある」


「それでも表情は変わらないのはさすがよ、ライドネス」


「君は───私に怒っているのだろう。アリステアをずっと放っていたことに」


「そうね。怒ってる私を見て貴方は気分が悪くなった?カッとなったら離婚していいわよ」


「‥‥‥いや。君にはずっとここにいて欲しいと思っている」


「貴方が後悔しないなら、私は構わないわ。ただし、言いたいことは言わせてもらうわね。貴方とアリスちゃんが普通の父娘関係なら私も何も言わないけれど、これはあんまりだもの」


私は右の人差し指で、トントンと彼の前にある紙束を叩いた。


「貴方がアリスちゃんに愛情を感じないのをどうにかしろ、とは言わないから。無理なものは無理だと思うの。苦しい思いして産んだ我が子に愛情を持てない母親だっているし。これじゃ駄目だから頑張って愛そうと思っても難しいことだと思うわ。第一、子供は騙せない」


「‥‥‥‥‥」


「アリスちゃんのことは私に任せて。貴方は自分のしたいことだけしてればいいわ」


お仕事頑張ってね、と笑みを浮かべて言うと、目の前の男は二度目の溜息を吐いた。


「君は相当に怒っているのだな」


「笑ってるのに?」


「君は怒った顔より笑っている時が一番怖い」


私はニッと口角を上げた。


「さすが、長年事業をやってるだけあるわね。人を見る目はあるわ」


実業家はそうでなくっちゃね。


「聞きたいことや、やってもらいたいことはたくさんあるわ。まあ、それは一度にでなくてもいいんだけど。まずは、アリスちゃんの着る物ね。アリスちゃんも社交界にデビューしたから、これからドレスがたくさんいるわ。これまでは、誰が用意してたの?」


クラウスが、とライドネスは自分の執事の名を言った。


月に一度、邸の使用人から必要なものを聞いて送っているらしい。

その中に、アリスちゃんの着る物も入っているようだ。

奥方のマリアーネは、業者を呼んで自分のドレスだけは作らせていたようだが。


「道理でセンスの欠片もない服ばかりだと思ったわ」


アリスちゃんの部屋のクローゼットの中を見て絶句したのだ。

あまりにもお粗末な内容に。

驚くことに、クローゼットの中で燦然と輝いていたドレスは、トワイライト侯爵夫人からの贈り物だということだった。


あんなに可愛いのに!天使のように可愛い女の子なのに!許せないわ!


「まずは業者を呼んで作らせないと。アクセサリーも必要ね」


「わかった‥‥君に任せる」


「任されたわ。文句は言わないでね」


「ああ、言わないよ」


私はメイドを呼んでお茶のお代わりを頼むと、再びライドネスと向き合った。


「アリスちゃんの部屋を見たことがある?」


いや、と首を横に振るライドネスを見て私は肩をすくめた。


「でしょうね。ま、見ても貴方なら何も感じないと思うけど」


「問題があるのか?」


「大いに問題よ。本当にびっくりしたんだから。アリスちゃんの部屋にはベッドと鏡台と小さなテーブルしかなかったのよ」


「?それだけあればいいだろう。何が足りないんだ?」


「うん、わかる。貴方ならそう思うわね。でも私は違うの。あれは女の子の部屋じゃないわ」


可愛い小物も、人形もオモチャもない。かろうじて絵本が数冊置いてはあったが。


伯爵令嬢なのだから、社交界にデビューする前に学ばせることはたくさんあった筈だ。

なのに、週に二回マナーとダンスの教師が来て教えるだけ。

ライドネスは、女に学問は必要ないという思想の持ち主だったか?


幸いなことに、アリスちゃんは前世が公爵令嬢だったから、教わるまでもなく教養もマナーもダンスもバッチリだったが。

ついでに、王妃教育まで受けていたから文句のつけようのない貴族令嬢だ。


ま、ライドネスはそんなことは知らないだろうが。


いくつか手乗りサイズの可愛らしい人形があったが、それはミリアがアリスちゃんのために作ったものだったらしい。


「母親って必要ね。でも、いても育児放棄するような母親はいらないけど」


「わかった。全て君に任せる。君の思う通りにやってくれ」


「貴方──不器用な所は本当に変わらないのね」


何もなくて、クローディアと結婚していたらどうなっていたかしら、と私は思う。

二人は仲が良かったとは思うが、愛し合っていたかというと、私には疑問だ。

だが、クローディアの両親はライドネスとの結婚には乗り気だったし、彼も断らなかったとは思う。

あ、そうしたらアリスちゃんは生まれてないかしら。

納得したくはなくても、アリスちゃんを生んだのはマリアーネだし。


私は新しく淹れてもらったお茶を一口飲んだ。

少し甘くしてくれているのが有難い。

いい使用人がいるじゃない。ミリアもいい子だし。


「さて。じゃ、次の問題点を話し合いましょうか」


ライドネスは、目を細めた。

それが、無表情の筈なのに、心底嫌そうに見えて私は笑い出しそうになった。


「まだあるのか」


「今日と明日、付き合ってもらうと最初に言った筈よ」


だから、気合い入れてね、と私はニッコリ笑ってみせた。


次回はレベッカの話です。前に書いたレベッカの呟き2って感じでしょうかね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 愚父さんを見ていると不器用と無能の相違について考えてしまうね。ライドネスは後者に見える。間違いなくそう思う。金を稼ぐATMとしての能力以外は超絶無能。 でもATMとしては優秀だよやったね(…
[一言] ライドネスから「ドブの臭い」がする件。こいつは必要が無いと思う。呼吸をする必要が。 こいつは特に描写もなく意味もなく死んでもらって、アンナさんに舞台に上がって欲しいところ。
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