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アンラッキーズ

M君は今日もバカだった

作者: ルク穴禁

M君は俺を中学生の時からライバル視していた。M君は知らない事を俺から聞くと、「何で知ってるの?」「どこで知った?」「どうして知ってるの?」等、俺の知識の元を探ろうとする。正直、ウザかった。M君はオタク扱いされるのが大嫌いだった。ガンダムやエヴァンゲリオンの話を振っても、「俺、大人だもんねー。ロボットや人造人間のアニメなんて観ないもんねー」と言って誤魔化していた。意外と知識がある。


中二病は最低でも25歳までには卒業するものだが、大人になったM君は今日もバカだった。M君は童貞なのがコンプレックスだった。俺が彼女を連れて歩いてるところで、バッタリ出会ってしまった。


「何でお前が、お、女なんて連れてんだよ!? 妹か? 従兄弟か?」

「童貞」

「お、俺、童貞じゃないもんねー! 女とやりまくってるもんねー! これから浮気相手と会うもんねー!」

「何コイツ。キモい」

「M、いいことを教えてやる。東京23区に100円姉ちゃんってのが居てな。その名の通り100円でセックスさせてくれるんだ。美人で病気も持ってないって話だ」

「マジか!? 嘘じゃないだろうな?」

「マジ、マジ」


その日、M君は〝ザ・田舎者〟なオートマのシルビアを運転して東京へ行く。我慢汁をたらしながら。シルビアだけに。


当然、100円姉ちゃんなど居ない。しかし、M君は、めげずに東京中を駆けずり回り、ある風俗店にたどり着く。そして、素人童貞となる。


M君はエイズに感染してしまった。M君は絶望した。


数年後、また俺はM君と街でバッタリ会ってしまった。


「おい! お前のせいでエイズにかかっちまっただろ! 責任取れよ!」

「自己責任だ、素人童貞。どうせ、ゴムなしで本番をやったんだろ。アンラッキーだったな。負け犬」

「意味が解らない!」


M君は今日もバカだった。

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