イズーの叫び
◯イズー
とにかく計画はめちゃくちゃになった。
俺達のプランはこれでおしまいだ。
「もう父さんと母さんには一生会えないのかな」
イズーがそうつぶやいて、首から下げていたロケットを見つめた。
優しい笑顔でこちらを見つめる両親の写真にイズーは胸が締め付けられそうになった。
目の前で会話をしていたアロアとアーサーはそんなイズーを見つめた。
「イズーのお父さんとお母さんはどこにいるの?」
イズーは俯いた。
「わかんない。みんなそうだ。国にお金が払えなくなると、大人は集められて大きなトラックに乗せられる。そしてそのままどっかに連れて行かれるんだ」
そしてイズーは力なく笑った。
「馬鹿だなあ俺。あんなにたくさんの大人がどっかに連れて行かれるんだから国王軍が俺の父さんと母さんの居場所を知っているはずがないのに」
「イズー」
アロアはイズーの側に駆け寄り、そっと肩を抱いた。
その様子をじっと見つめていたアーサーが口を開いた。
「父の政策とはそれか?」
イズーとアロアは顔を上げてアーサーを見た。
アロアは頷いた。
「兄さん、さっきの奴らが言っていた通り本当に王子なの?」
アーサーは何も答えない。
イズーは立ち上がりアーサーにしがみついた。
「会わせてよ」
アーサーはイズーを見下ろした。
「会わせてよ。父さんと母さんに」
その声は震えていた。
「会わせてよ!」
アーサーは何も答えない。
イズーは床に崩れ落ち、嗚咽を上げて泣き出した。
◯アロア
ああ。
またこの顔だ。
覚悟を決めた顔だ。
アロアにはアーサーの横顔がネロの横顔と重なって見えた。
ネロの声がアロアの中で響く。
えらくなるか死んでしまうかだよ。アロア。
ネロ・・・。
アロアは俯いて自分の腕をぎゅっと握り締めた。
「私は貴様に両親を会わせてやることはできない」
アロアは顔を上げた。イズーも泣きながらも顔を上げていた。
「だが、こんな国にした原因を殺すことはできる」
原因?
その時、勢いよくドアが開いた。




