王様の顔
◯アーサー
「王子、何か気に障りましたでしょうか?」
反乱軍の大群は、不安そうにアーサーの顔を見つめた。
アーサーは思った。
こいつらもマーリンと同じだと。
「貴様らも奴と同じだ」
アーサーは反乱軍を睨んだ。
「消えろ」
反乱軍の大群はざわついた。
「し、しかし王子が我々に付いてくだされば」
「国王軍にも騎士団にも対抗できます」
集団の一人一人がいかにアーサーが反乱軍に必要な存在なのか言葉を発していたが、アーサーにはただの雑音にしか聞こえなかった。
「消えろ!」
アーサーが叫んだ。
反乱軍は言葉をぴたっと止め、一斉にアーサーを見たかと思うと皆、恐ろしいものを見たかのように青白い顔になっていった。
そして逃げるように一人また一人と部屋を出て行った。
最後の一人が出て行った時、アーサーがアロアに問い掛けた。
「一体何だったんだ、あの集団は。急におとなしくなったかと思えば部屋を出て行ったぞ?」
アーサーはアロアを見たが、アロアはアーサーを見ようとしない。
「おい、アロア聞いているのか?」
「ええ。聞いているわよ」
「ならなぜ私の目を見ない?」
「別に」
「もう大丈夫だよ!姉さん!」
アーサーがきょとんとした顔をしてイズーを見た。
イズーの声を聞いたアロアはアーサーに振り返りじっとアーサーを見つめた。
「よかった。元に戻ったのね。アーサー」
アーサーは意味がわからない。
「どういうことだ?」
◯アロア
さっきまでのアーサーすごく恐かった。
今まで見たことのないような顔をしていた。
ネロでもあんな顔したことない。まるで
「王様の顔」
アーサーが怪訝そうにアロアを見つめた。
「王様みたいだったの。さっきまでのアーサー」
「俺も」
床に座り込んでいたイズーが立ち上がった。
「なんかこの人に逆らったらダメだってそんな気分になったよ」
「それはそうだろう」
アロアとイズーはアーサーを驚いて見た。
「私は、貴様らよりもはるかに高貴な存在なのだから」
アロアは思った。
あのアーサーは幻だったのかも。




