反乱軍からの誘い②
アロアはアーサーの顔を見た。
すると、アーサーもアロアを見た。
「え?」
アロアはアーサーに腕を引っ張られた。
「こいつは、貴様らより百倍は強い。弱い大群など引き連れたところで私に何の得にもならないではないか」
アロアはそんな言い方しなくてもと思ったが一般人の集団よりかは自分一人の方が強いだろうという自信はあった。
「確かにそちらのシスターは、王子を守るために果敢に戦われたこと知っております」
アロアは驚いた。
「どうしてそのことを知っているの?」
反乱軍と名乗る一般人の集団の一番前に立っていた男がにやりと笑った。
「我々の力はそれです」
「それ?」
「情報力ですよ。国王軍、騎士団、そして王族まであらゆるところに我々の仲間はいるのです」
「じゃあ今回のイズー達の計画も見抜いたの?」
「ええ。もちろん。国王軍どもには嘘の情報を教えましたから、ここには来ません」
「嘘だろ」
イズーは全身の力が抜けたように床に座り込んだ。
「おいアロア、私達は嵌められていたのか?」
「嵌められていたわよ」
「貴様知っていたのか?」
「この部屋に入ってからイズーの様子がおかしかったじゃない。普通誰でも気が付くわ」
「何だと?」
「まあ、おかしかったのはイズーだけじゃなかったものね」
「どうしてくれるんだよ!お前ら!」
突然イズーが反乱軍に叫んだ。
「もう少しで俺と兄貴は父さんと母さんに会えたのに。お前らのせいで台無しだ」
違う。
きっと会えなかった。
もしイズー達の計画がうまくいっていたとしても国王軍達は子供達のためにそんなこと決してしない。
アロアはイズーにそのことを伝えようとした。
「イズー聞いて。国王軍は」
「馬鹿なガキどもだ」
そうアロアの言葉を男が遮った。
「お前らは騙されたんだよ。国王軍は決してお前らに親を会わせるような真似はしない。俺達がここに来なきゃ、反乱軍の要となる王子は国王軍に引き渡されていた。お前らはいるだけで迷惑なんだよ」
男の言葉は止まらない。
「親がいないせいで、街中で盗みを働く上に簡単に騙され利用される。ん?まあでも、お前らのおかげで王子に会えたから多少の利用価値はあったのかもしれないな」
反乱軍の大群が声を上げて笑い出した。
床に座り込んでいたイズーはまっすぐその大群を見つめたが、彼の青い瞳が揺らいだのがアロアにはわかった。
アロアは怒りで体が熱くなるのを感じた。
拳を握りしめ、一歩近づこうとした時、アーサーがつぶやいた。
「利用価値?」
アロアは立ち止まった。
その声は低く怒りに満ちている声だった。
アロアはアーサーの顔を見ることができなかった。
とても怖かったから。




