教会
街の人だろうか、数人が椅子に座り、祈りをささげている。
少女は、教壇の上に立ち、老人や子供と会話をしていた。
その姿を見つめていたアーサーと少女は目が合い、先程と同じように笑みを浮かべた少女がアーサーの元に駆け寄ってきた。
「もう食べ終わったの?よっぽどお腹が空いていたのね」
「貧相な食事ではあったが、空腹を満たすにはちょうどよかった」
その言葉を聞いて、祈りを捧げていた数人が、アーサーをちらっと見た。
また、私はひどい言い方をしたのかもしれないとアーサーは思ったが、彼には何が良い言い方なのか悪い言い方なのかもはや分別がつかない。
しかし少女は相変わらず笑みを崩さなかった。
「そう?じゃあよかったわ」
よく見ると彼女は、シスターの格好をしていた。
「貴様、シスターだったのか?」
また、教会にいた数人がアーサーをちらっと見た。
「ええ。そうなの。あと少しだけ待ってくれる?もう終わるから」
少女は教壇に駆けて行き、また街の人たちと会話をし始めた。
アーサーは教会の椅子に座りその姿を見ていた。
気を失う前、たしかあいつが現れて・・・だめだ。思い出せない。
そういえば、なにかつぶやいていたような気もする。
しかしそれがなんだったのかアーサーはやはり思い出せなかった。