85/213
ボーマンとトリスタン
◯ボーマン
ボーマンはきょとんとした顔の少年を見ていると自分の情けなさに思わず吹き出した。
さっきまでこのガキの悪そうな顔にすらびびっていたんだよな俺。
「何でだよ?」
ボーマンは少年を見た。
「何で逃げないんだ?」
「逃げられないから」
少年は、意味がわからない様だった。
「いいからはやく案内しろ。名前何て言ったっけ?トリタン?」
「トリスタンだ!」
思わず勢いで名乗ってしまったことに少年が驚いて今更ながら口を手で押さえていた。
「なんだ。お前やっぱりまだまだガキだな。だから国王軍につけこまれたんじゃないか?」
トリスタンは何も答えない。
「何か褒美でももらえるとか言われたんだろ?」
トリスタンはちらっと自分の掌を見た。彼の手の中で何か光った。
さっき店で落ちていたやつか?
「言っておくが、国王軍は約束なんて守らないぞ」
トリスタンが拳を握り締める。
「お前らは利用されただけだ」
トリスタンがボーマンを睨む。
「無駄だよ。お前らの望みを叶える気なんて少しもない」
「なんでお前にわかるんだよ!!」
トリスタンが搾り出すように叫んだ。
「あいつらは、俺達に父さんと母さんを会わせてくれるって約束した!」
「会えないよ」
ボーマンの即答にトリスタンの口はぽかんと開いたままになった。
「俺、元国王軍だからわかるんだ」




