ボーマンの留守番④
「どうなってんだ?一体」
王子のことをあのガキは知ってるのか?それに・・・
ボーマンは、目の前に立っている黒髪の少年を見つめた。
少年は逃げることなくじっとこちらを見つめている。
なんであいつ逃げないんだ?
そもそも、王子とアロアはあのガキを追って行ったのにそのガキが目の前にいるし、
もう一体どうなってんだ?
「おい!」
混乱していたボーマンは、はっと顔を上げて声のした方を見た。
「お前ら、国王軍に追われているんだろう?」
ボーマンの体がびくっと震えた。
「どうしてそのことを?」
少年がにやっと笑った、その顔は、子供とは思えないほど酷く歪んで見えた。
「お前の仲間、今頃国王軍に引き渡されているぜ?」
ボーマンは、自分の体が緊張して強張っていくのを感じた。
さっきまでの余裕がなくなっていく。
自分の命が危険に晒されている状況を思い出したからだ。
「俺たちをはめたのか?」
少年がまたにやっと笑った。
あの顔・・・嫌な顔だ。
「ああ。金色の目をした盗人とその仲間を捕えろって国王軍に頼まれてな」
国王軍に頼まれた?
「財布を盗んで、お前らを俺たちのアジトまで連れてこさせてそこに閉じ込める
ってのが俺達の作戦だったんだよ。でも、まさかリーダーにまでばれていてるとはな」
「さっきのガキは、この事知らなかったのか?」
「だってこの作戦は俺たち兄弟で立てた作戦だからな」
「兄弟?」
「まあ3人中2人も捕まえることができたんだから十分だな」
「俺は、捕まえないのか?」
「リーダーに見つかっちまったし気分じゃなくなったんだよ。」
俺は人の気分で最近助けられているような気がする。
「お前、もうこの街から早く離れたほうがいんじゃねえか?」
そう言い放った少年の目にボーマンは見覚えがあった。
少年の顔は、人を完全に見下している目をしていた。
あれは俺の目だ。
俺がガキどもに対して向けていた目だ。
そんな俺が今はガキに向けられている?
ボーマンは今、思い知った。
自分が危険な状況に追いやられたことで、自分がどれほど弱かったのか、自分が今まで何をしてきたのか。
俺は何してんだ?
何やってたんだ?
ボーマンは自分が今まで歩んできた人生がとんでもなく情けないものに思えてきた。
これは、貴様が決めたことだ。
アーサーの言葉がボーマンの頭によぎった。
私を何度殴ってもいい。
だがそれは、自分の責任から逃げているだけじゃないのか?
ああ、そうだ。
これでいいんだよ。
情けなくてもこれが俺の選んだ道。
俺はあの時生き抜くことで自分で決めたことの責任を果たすと決めたじゃねえか。
それに
「行き着く先なんてない」
どこへ逃げてもウーサー王の追っ手からは逃げ切れない。
俺が生き抜くためには、あいつらが必要なんだ。
「おい!おっさん!なにひとりでぶつぶつ言ってんだ?」
どいつこいつも生意気なガキばかり。
ボーマンは少年に向かって怒鳴った。
「おっさんじゃない。俺の名前はボーマンだ」
少年はきょとんとした顔をした。
ボーマンはその顔を見てふんと鼻で笑った。
ちゃんと見ればこいつもまだまだガキな顔してんじゃねえか。
「おい、お前、捕まえた俺の仲間の所まで案内しろ」




