少女の家
しかし、そんな彼の言葉にも少女は笑みを崩さない。それどころかアーサーに話しかけた。
「ねえ、お腹空いてない?」
そう言って少女は部屋の奥に駆けて行った。
アーサーはきょとんとした表情で少女を見つめていたが、急にものすごい空腹感に襲われた。
そうだ。私はここ何日も何も食べていなかった。
少女がお盆いっぱいの食事を持って戻ってきた時、アーサーは、そのお盆をひったくるように奪い取り、夢中で食べ始めた。
裕福な暮らしをしていたアーサーにとって少女が出してくれた食事はあまりにも貧相なものであった。
いつもの彼なら少女に罵詈雑言を浴びせるはずだが、今の彼はそれどころではなかった。
そんなアーサーの姿を見ても少女は笑みを崩さない。
「私、仕事がまだあるの。そのまま食べてくれていいから」
そう言って少女は部屋から出て行ってしまった。
アーサーはひたすら食べ物を口に運んだ。
時折むせながらも、手は食べ物を口に運ぶことをやめない。
お盆いっぱいにあった食事はあっという間になくなってしまった。
コップにたっぷり入っていた水を飲み干し、ソファーに倒れこんだ。
ふうっと目を閉じ、このまま眠ってしまおうかとアーサーは思ったが、ふと、少女が出て行った扉を見つめた。
アーサーは起き上がり、少女の出て行った扉を開けた。
そこは、外に繋がっているのではなく、別の建物に繋がっていた。
アーサーは廊下を歩き、その建物の中に足を踏み入れた。
そこは、教会だった。