75/213
アロアにはわかる
「なぜだ?」
「え?」
「なぜ貴様は私を責めない?」
アロアはきょとんとした顔をした。
「なんだその顔は?」
「やっぱり。あなたは優しい人じゃない」
アーサーは目を瞬いた。
優しい人?
口を開けば暴言ばかり吐いてきたアーサーは今まで生きてきた中で優しい人なんて言われたことがなかった。
だからこそ、アロアの言葉にアーサーは動揺した。
「なぜだ?私は、国の王子でありながら何も知ろうとしなかったのだぞ」
「でも、今、なぜ責めないって私に聞いたじゃない。それってちゃんと自分の責任を感じているってことでしょう?いちばん悪いのはね、アーサー。死ぬまで気づかないことよ。でも、アーサーはちゃんと自分の責任を感じた。それで十分優しい人だと私は思っただけよ」
「だが、私は気づいたところで」
王になる気はないという言葉をアーサーは飲み込んだ。
結局のところ私は自分のことしか考えていない。
アーサーは俯いた。
「私は優しい人では」
「見ればわかる」
アロアがアーサーの言葉を遮った。
「私にはわかるのよ」




