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ALOISE(アロア)  作者: 十八谷 瑠南
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盗まれた財布

◯アロア

しまった。アーサーを見失ってしまった。

料理店のあった大通りからかなり離れた小さな広場にアロアはいた。

アーサーはどこへ行ってしまったのだろう。

アロアは、広場の近くにあった橋から流れる川を見下ろした。

この感じ何だか似ているあの村に。

よく3人で川遊びしたなあ。

そういえばロッシュはどうしているんだろう。

アロアの目にあの頃の3人が浮かび上がる。

ぼうっと昔のことを思い出していたアロアはふと橋の下に目をやった。

そこには見慣れた人影が。

「ん?アーサー?」

アロアは、橋の下に駆け出した。

アーサーが壁を見ながら腕を組んでいた。

「アーサー!やっと見つけた!財布を盗んだ子供は?」

アーサーがアロアに振り返る。

「あのガキがここに逃げ込んだところを橋の上から見たのだが、ここで消えた」

「消えた?見間違いじゃないの?」

「いや、確かにいた、橋の上から見てすぐここに来たから、もし逃げたのなら後ろ姿でも見えたはずだ」

「それで?アーサーはその壁が怪しいとおもったの?」

「ここに隠し扉でもあるかと思ってな」

「隠し扉ねえ。それよりも私はあなたの足の下のほうが怪しいと思うけど?」

アロアはアーサーの足元にあったマンホールを指さした。

アーサーはきょとんとした顔をした。

「アロア貴様、何を言っている?こんなところ人間の入るところではないだろう」

「そうね。普通は入らないわ。でも、孤児の子供達にとっては、下水道の中は雨も風もしのげる場所なのよ」

アーサーは足元を見つめた。

「あいつは孤児だったのか」

「私の街にもたくさんいたし、アーサーも旅の途中で見かけたりしたでしょう?」

「この国の子供は他人の金を盗まないと生きていけないのか?」

アーサー?

アロアは足元を見つめるアーサーの顔をのぞきこんだ。

アロアは息を呑んだ。

ああ・・・またこの顔だ。

その顔は、覚悟を決めた顔だった。

アロアにはわかる。

かつてネロも同じ顔をしたことがあったからだ。おじいさんが死んでしまったあの日に。

アーサーは我に返って顔を上げた。

「あの金を取り戻す」

「え?」

「いくら金がない孤児だとはいえ、あの金は私の大事な金だ」

「ええ・・・そうね」

アーサーはいつものアーサーに戻ったのかしら。

「おい、マンホールなど汚くて触りたくない。貴様が開けろ」

ああ、戻ったみたいね。


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