偽物の王
◯ランスロット
偽物の王。
本当はみんなわかっている。
でも、逆らえない。
剣が選んだと思い込んでいるから。
剣の選ぶ王は絶対だ。
ランスロットの目の前にある玉座に座っているウーサー王は金ピカの装飾に覆われていた。
それは、ただ単に派手にしたいだけなのか何なのか、王の考えることはわからない。
そんな王の後ろにはいつも選定の剣が飾られていたが、今はもちろん飾られていない。
盗まれている様に見せ掛けるために。
そんな演出にランスロットはイラついていた。
あの剣に惑わされる。
偽物の剣に振り回される。
そんな思いを全て飲み込んで、ランスロットは、ウーサー王の前にひざまずく。
「国王陛下、この度は、王子を見す見すとり逃してしまい、誠に申し訳ございません」
ウーサー王の黒い瞳がランスロットをぎろりと睨みつけた。
「貴様、真実を述べよ」
ランスロットはひざまずいて下を向いたまま何も答えない。
「貴様は、わざと王子を逃がしたのではないか?かつて王子と脱走した仲ではないか」
ランスロットは思い出していた。
あの日、逃走したアーサーとガウェインを追って
そして・・・
「お忘れですか?陛下」
ランスロットが顔を上げて、ウーサー王を見つめた。
「かつて、共に逃亡したあの男を私が殺したことを」
「ああ。確かにそうだったな。あれは・・・くっはははははは」
ウーサー王が笑いだした。
玉座の周りに控えていた上官たちはそんな笑い声にも動じない。
いつもことだからだ。
やはり・・・ウーサー王は狂っている。
ウーサー王の巨大な笑い声が玉座の間に響き渡る
「あれは愉快だった!そうだったなあランスロットよ。貴様は、そういう男だった。忠誠は確かにあの時誓っておった。だからこそ、貴様を私の騎士団の団長にしたのだ。裏切るはずなどなかったな?」
「もちろんでございます。陛下、私は」
ランスロットは自分の体が震え出しているのがわかった。
「私は、陛下のためであれば友でも容赦は致しません」
ランスロットは震える体をウーサー王に気づかれる前に必死で止めようとした。
この震えはなんだろう?
怒りだろうか、悔しさだろうか、それとも恐怖だろうか。




