助け出されたアーサー
アーサーは目を閉じて思った。
ガウェイン。貴様ならどうする?
その時、なにか物がぶつかる音が聞こえた。
アーサーは瞼をゆっくり開けると、鼻の曲がった悪魔が倒れていた。
何が起こったのだ?
倒れた男の後ろに少女が立っていた。
少女はアーサーをじっと見つめて何か呟いた。
アーサーには、少女が涙を流したように見えたが、見返す間もなくそのまま意識を失ってしまった。
敬意、思いやり、そして責任。全てお前は持たなくてよい。お前だけに許されているのだ。
王である私の息子だけに。
人生で唯一王である父親から受けた教育がこれだった。
この教えがアーサーに沁み付き、アーサーは人に敬意を持つどころか見下し、馬鹿にし続けていた。
そのためだろうか、目が覚めた時、手当をしてくれたであろう少女に対して発した一言はひどいものだった。
「貴様、その汚い手で私に触れたのか?」
少女はアーサーが目を覚ました時、顔に笑みを浮かべ駆け寄ろうとしていたが、その一言に驚いたのか、笑みを浮かべたまま立ち止まっていた。
アーサーはさらに言葉を続けた。
「汚い下民が私に触るなど屈辱的だ」
アーサーは言葉を止めない。
「全く下民に手当されるくらいなら死んだほうがましというものだ」
少女は何も言い返してこなかった。
その様子を見てアーサーは思った。
私はまた傷つくような言葉を発しているのだろうか。
一年前に三人の友人ができたことで、彼は自分の言葉が人を傷つけていることを少し自覚し始めていたが、幼少期から父親の教えを守って生きてきたため、この沁み付いた教育は彼からそうそう離れなかった。