アーサーのために
◯グウィネヴィア
「へえ。そんなことになったの?」
相変わらすピンと背筋を伸ばす男から、西の果ての街で起こった出来事を聞いたグウィネヴィアはにやつきながらそう言った。
「はい。そのため、王子を逃がしてしまった団長はひどく王からお叱りを受けている最中です」
グウィネヴィアは吹き出した。
「馬鹿ね。もっとうまいやり方があったはずでしょうに」
「やはり、団長は、王子の味方・・・なんでしょうか?」
「当たり前でしょう?」
グウィネヴィアに即答されて、背筋の良い男は背筋が曲がる暇すらなかった。
「え?」
グウィネヴィアは男に、にっと笑った。
「ランスロットは、あなたのことちょっとは信頼したみたいよ?」
グウィネヴィアの手元には、ランスロットからの手紙があった。
「本当ですか!?」
「だから、もう少しぐらい私たちのこと話しても大丈夫かと思ってね。ランスロットは騎士団でウーサー王に仕えてはいるけど、ずっとアーサーの味方なのよ。ただ、アーサーの今後のことを考えて、騎士団にいるだけ」
「今後のこと?」
「アーサーが王になる時のこと。敵の中に一人でも味方がいた方が今後何かの役に立てるってランスロットはそう言っていたわ。それがやっと今発揮出来るって感じね。アーサーをちゃんと逃がすことができたもの」
ただそのために、1人の命を犠牲にしてしまった。
「では、もしかして騎士団の間で流れているあの噂・・・もしかして」
グウィネヴィアは頷いた。
「あれは私達が流した噂よ」
「私達?」
「ええ。私達。預言者に集められた4人」
背筋の良い男はきょとんとした顔をしていた。
「本当にあなた、なにも知らないのね?一年前の第1回王子脱走事件」
「なんですかそれ!?教えてください。皆が知っていて私が知らないというのは本当に耐えることができないのです」
グウィネヴィアはにっと笑った。
「まさかグウィネヴィア様・・・?」
「続きは」
「待ってください!」
「ランスロットに聞いて」
背筋の良い男はため息をついて肩を落とした。




