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ランスロットの考え
◯ランスロット
「大丈夫ですか?団長」
ランスロットは、顔から滴り落ちてくる血を拭った。黒い服に血がじわっとにじむ。
「今すぐ後を追います」
「待て」
国王軍の男がランスロットを見つめたが、ランスロットは男の顔が半分ぼやけて見えた。
どうやら左目の上を切ったようだった。
「ほっとけ」
「ですが・・・」
「もういい。捜索にでている軍をここに招集しろ」
男はランスロットの命令に何か言いたげだったが、軽く敬礼をし、その場を去った。
ランスロットは左目を押さえながら、遠くで伸びている男に声をかけた。
「おい、いい加減起きろ」
伸びていた男はすばやく起き上がると、ランスロットの元へ駆け寄り、背筋をピンと伸ばした。
「お前、途中から伸びた振りしてただろ?」
背筋の良い男はにやっと笑った。
「気付いておられたのですね?」
「俺に気を使ったのか?」
「団長は・・・やはり王子の」
ランスロットの大きなため息が男の言葉を遮る。
「帰るぞ。城へ」
ランスロットは立ち上がった。相変わらず血は止まらない。
「あのシスターは一体何者なんだ?」




