命乞い②
「お前のせいだろ!お前は殺されることはないかもしれねえが、俺は、殺されるんだぞ!命乞いぐらいなんだってしてやる!」
「なんだ?貴様、私にむかって無礼な!その汚い手を離せ!」
「嫌だね。どうせ殺されるなら一発殴らせろ。俺はまだお前の鼻を曲げてねえ」
男がアーサーの顔面に強烈な拳を食らわせた。アーサーはそのまま吹っ飛んだ。
その様子を見た国王軍の男たちは爆笑していた。
男は吹っ飛んだアーサーの元へ駆け寄り、また胸座をつかんだ。
「お前のせいだ。俺の人生を台無しにしやがって。全部お前のせいだ」
アーサーはそんな男の様子を見て、なぜか胸が痛くなった。哀れなのかなんなのか。
この気持ちは一体何だ?
胸座を掴まれていてもアーサーはひるむことなど全くなく男に問いかけた。
「貴様、聞いていたのだな?」
「何がだ?」
「あいつの話」
「あいつ?」
「アロアの話」
男は怪訝な顔をしてアーサーを見つめる。
「何が言いたい?」
「あいつが言っていただろう?自分で決めたことは責任を持つと。たとえ、それが自分の望んでいなかった結果になっても。貴様もそうだろう?これは、貴様が決めたことだ。私を何度殴ってもいい。だがそれは、自分の責任から逃げているだけじゃないのか?」
アーサーは自分の胸がどんどん痛くなるのを感じた。
この痛みは何だ?
男はアーサーの胸座から手を離した。
「俺は、ただ死にたくない。それだけだ」
男の中から必死に生きようとする気力のようなものが消えていくのがアーサーには見えた様な気がした。
アーサーは鼻から滴り落ちる血を腕で拭った。
胸の痛みは消えていた。




