58/213
命乞い
◯アーサー
長い地下通路だった。
真っ暗で、やっと地上に出られたと思ったらこれだ。
アーサーは目の前で必死に命乞いをする男に呆れていた。
「助けてくれ!俺は本当に巻き込まれただけなんだ!同じ国王軍だろう?」
その様子を国王軍の男たちがにやつきながら見つめている。
国王軍と言っても3人しかいなかったのだが。
彼らは、街に捜索に出掛けて、偶然この広場に来た様だった。
1人が応援を呼びに行ったようだから、もう逃げ切ることはできないかもしれないとアーサーは思っていた。
だからと言ってこの鼻男のような命乞いなど誰がするか。
「王命では、盗人以外は殺せと言われてんだよ。王命だから仕方ないだろう」
男の顔が真っ青になった。
そんな男を見てそういえば、この男にも俺はそう言われたことがあったなとアーサーは思った。
「まあ、でも、土下座でもするなら少しは考えてやってもいいぞ?」
男は即座に手を付き、頭を地に擦りつけた。
「どんなことでもする。助けてくれ」
それを見た国王軍の男たちは、けらけらと笑い出した。
アーサーは大きなため息をついた。
「おい。鼻男やめろ。こいつらは貴様を生かす気などない」
男の動きがぴたりと止まり、地面に頭をつけたままぼそっとつぶやいた。
「誰のせいだと思ってんだ?」
男が立ち上がり、アーサーの胸座を掴んだ。




