男の疑問
外は、まだ夜明け前だった。ふたりの顔に冷たい風が突き刺さる。
「なりゆきでグウィネヴィアは話してしまったようだが、俺はまだお前を信頼していない。だから全てを話すことはできない」
ランスロットの口から白い息が漏れた。
「まだ私は配属されたばかりですし、当然です」
「まあ、お前が今疑問に思っていることひとつぐらいなら答えてやる」
男は驚いて背筋が伸びた。
「よろしいのですか?」
「ひとつだけだぞ」
「はい。あの・・・選定の剣のありかのことです」
「ありか?」
「グウィネヴィア様のお話が真実であれば、ウーサー王は元々剣のありかを知っており、その剣を見て偽物を作ったことになります。しかし、剣のありかを知っているのは、剣に選ばれた王だけのはず。では、ウーサー王はどうやって剣のありかを知ったのですか?」
ランスロットは思った。
そう。全てはそのことから始まった。
「預言者だよ」
「預言者?」
「俺も知らなかったのだが、剣のありかは代々預言者が王になる人間に教えていたらしい。その預言者が教えたんだ」
「え?」
男は驚いて口がぽかんと開いたままになっていた。
「預言者はちょっとの興味本位のつもりだったんだろう。未来の王の父親に近づいたんだ。それが、親密になりすぎて、ウーサー王に見せてしまったらしい。選定の剣のありかを」
一年前、ランスロットの前に現れた預言者は言った。
自分で決めたことは責任を持つ。そのためには君が必要だ。と。
背筋の良い男は驚きの連続のせいで、言葉が出てこなかった。
「ウーサー王は剣を引き抜くことはできなかったが、石に刺さった剣を見ることはできた。それで偽物の剣を作ることができたんだ」
「そんなことが・・・」
ランスロットは空を見上げた。美しい星空が今のランスロットには不快だった。
「無駄話はここで終わりだ。そろそろ行くぞ。アーサー王子を迎えに」




