シスターの素性
◯ランスロット
あまりにも情けない。国王軍ともあろうものが、一人の少女に敵わないなんて。
ランスロットは、王国の西の果ての街にある国王軍の基地にいた。
負傷した国王軍の男達を見るとなんとも情けない気持ちが次から次へと湧いてくる。
「ランスロット団長!」
背筋の良い男がランスロットの側に駆け寄り、案の定背筋をピンと伸ばした。
「少女の素性が判明しました。この街の教会のシスターです」
「シスター?」
ランスロットは、驚き、目を見開いて男を見つめた。
教会のシスターがこんなことできるのか?
「そいつの名前は?」
「アロアです。シスター アロア」
「とにかくその教会に行こう。そこにきっとアーサーもいる」
「あの、ランスロット団長」
「なんだ?」
「少女と王子とあともうひとり国王軍の男が人質として捕らえられていると聞きました。この場合、少女と国王軍の男は捕らえるのですか?それとも」
「王子以外は殺すようにと王命が出ている」
背筋の良い男の背筋が縮こまった。
「ランスロット団長・・・それでよろしいのですか?」
ランスロットは男を睨んだ。
こいつは以前グウィネヴィアが話したことを言っているのだな。
「王命だから仕方がないだろう」
「しかし、本当はアーサー王子こそ剣に選ばれた・・・」
「お前、余計なことはここで話すな」
ランスロットは、グウィネヴィアの手紙を思い出す。
味方は多いほうがいい。と手紙には書かれていた。
確かにグウィネヴィアのその考えも一理ある。だが、俺はこの男をまだ信頼できていない。
グウィネヴィアの奴、口を滑らせたな。
「失礼しました。団長」
「お前、まだ騎士団に友人はいないのか?」
背筋の良い男はきょとんとした顔をした。
「恥ずかしながら、なかなか騎士団の中に溶け込めずにいまして」
「グウィネヴィアから色々話を聞いたらしいな」
男は驚いてランスロットを見た。
ランスロットは小さく息を吐いた。
「外に出よう」




