恩人であり恩師
と、ここまで話終わった時、アロアは話が思い出話に脱線していることに気がついた。
質問の答えになっていなかったわね。
しかし、問いかけの主は真剣にアロアの話を聞き込み、何か考え込んでいるようだった。
「それで?」
「え?」
「それで、貴様はどうしたのだ?」
文句の一斉射撃を彼からうけると思っていたアロアは拍子抜けした。
真剣な眼差しで見つめてくる彼の隣で、国王軍の男はまだ伸びている・・・様に見えた。
アロアは男を視線の端に捉えながら真剣な眼差しに応える。
「私は、シスターのおかげで彼のいない世界で生きていく決心をしたの。でも、今のまま誰も守れない弱い自分じゃだめだと思った。それで、シスターに体術や剣の使い方や銃の使い方まで教えてもらって」
「おい、ちょっと待て」
「え?」
「そのシスターは体術や剣の使い方や銃の使い方を知っていたのか?」
「戦い方だけじゃないわ。彼女は知識も教養もとにかく全て兼ね備えていたの。だから私は、戦い方だけじゃなくて勉強も教えてもらったわ。この国の歴史とかもね」
アロアは、少年の右手にある剣に一瞬視線を落としたが、すぐに少年を見つめ直した。
「ある日、シスターの知り合いが病気になったとかで彼女が長く教会を空けることになったの。それで留守の間この教会を預かって欲しいって頼まれてね。で、今に至る」
「貴様、そんな怪しい女と暮らして何も思わなかったのか」
「全く?」
「貴様こそ変な女だな」
アロアはくすくすと笑った。




