アロアの回想③
アロアは何も答えない。
「ずっと自分を責め続けていたけど、それって結局責任を投げ出していたのよね。あなたもそうでしょ?」
アロアを見つめるシスターの顔には笑みはなかった。
アロアはどんな顔をすればいいかわからず、シスターから目をそらした。
「あなたがあなたを今責めていることは、現実から逃げているだけじゃないの?」
アロアは一度外した視線をもう一度シスターに向けた。
その時、心の奥に閉じ込めていた思いがアロアの口をこじ開けて飛び出した。
「私は」
アロアは自分の思いを心の奥に戻そうとしたが、止めることができない。
「親友を見殺しにした」
アロアの口から次々と言葉が飛び出していく。
「全部見てた。彼が独りになるのも。彼がやつれていくのも。彼が村の人から冷たくされているのも。彼が国王軍から殴られていたのも。父が」
アロアの青い目に涙が浮かぶ。
「父が、彼に冷たくあたるのを」
アロアは涙を拭った。
「全部見てた。全部知ってた。なのに私は、ただただ彼が好きなだけで、何もできなかった。それだけじゃない。私が彼に会えば会うほど、父の憎しみが増えると知っていたのに、何度も彼に会いに行った。彼が飢えるその日まで」
アロアは俯いた。
「私は彼を見殺しにしたの。自分を責めて当然でしょう?」
シスターの問いかけがまたアロアの中でこだまする。
自分で決めたことって、自分でどうにかできると思わない?
「私は何も決めてない。だから自分でどうにかできることなんて何一つない」




