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あの時と同じ瞳で
◯アロア
アロアはソファーの上に男を寝かせた。
「俺の時もこうやって運んだのだな」
「やっと認めてくれた?」
「貴様、何者なんだ?」
少年は、アロアを睨みつけた。
アロアは少年を見つめ返す。
それは、懐かしい光景だった。
あの時もアロアはこうして恩人のシスターと見つめ合った。
「私ね、昔、親友を見殺しにしたの」
少年の体がびくっと動いた。
「見殺しにした?」
アロアは目を伏せた。
「彼が死んでから辛かった。自分を責めるしかなかった。気づいたら、故郷を出て色んな街を転々としていたの。でもこの街に着いた時に、遂に倒れてしまって。この前のあなたと同じよ」
アロアは少年に微笑んだが少年は表情を変えない。
「倒れた時に、ああやっと死ねる、私の罪はこれで償われるって思ったの。でも、結局死ねなかった。ここの教会のシスターに助けてもらったから」
アロアは思い出す。あの時のことを。




