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人質
これ以上ここにいたらまずい。
アロアは少年の足を掴んでいた男の腕を蹴り上げた。男は叫び声をあげて腕を押さえた。
その上更に、腹を一発殴ったため、男は低いうめき声をあげて気を失った。
アロアは気を失った男を少し見下ろした後、軽々と男を担ぎ上げた。
少年はまた怪訝そうな顔をしてアロアを見つめる。
「貴様、そいつを連れて行く気か?」
何事もなかったかのように話しかけてきたので、アロアもそれに応える。
「人質にでも使えるかと思って」
「こんな奴、人質の価値もない」
「まあ気休めだと思ってさ。それに」
アロアはにっと微笑んだ。
「こいつを教会まで運ぶことができたら、看病しかできない女って思われなくて済むし」
少年はむっとした顔をアロアに向けた。




