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消えない面影
「何度言っても信じてくれないから直接証明しに来たわ」
「それだけのためにか?」
アロアは少年をじっと見つめた。今にも問いただしたくなる。
生きていたの?ネロ。
アロアは下を向いて涙をこらえる。
わかっていることだ。この人はネロじゃない。ネロはもう死んだ。もういない。
「おい!何をしている?」
アロアは、はっと顔を上げて少年を見た。
「私を助けに来たのだろう?早くここから連れ出せ」
アロアは思わず吹き出した。
「な、何だ?貴様、気でも狂ったのか?」
あのネロが暴言を吐く姿が見れるなんて。ネロじゃないけど。なんだか面白い。
少年が怪訝そうな顔でアロアを見つめた時、倒れた扉の向こうから大勢の足音が聞こえてきた。
少年は舌打ちをした。
「応援が来たか」
「逃げましょ」




