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アロア、駆ける…!
◯アロア
扉を軽く押すつもりだったが、中から物騒な話が聞こえてきたため、アロアは勢い余って扉を強く押してしまった。
扉は、そのまま客を招き入れるように開くのではなくドンっと大きな音を立てて倒れてしまった。
倒れた扉の先には国王軍の派手な制服を着た男達が驚いてこちらを見つめていた。
しかし、アロアには国王軍の男達など目に入らない。彼女の目には鉄格子の中で胸座を掴まれた状態の少年しか目に入ってこなかったからだ。
アロアは思い出していた。
かつての親友が殴られた時のことを。
ただ彼が殴られているのをアロアは見つめることしかできなかった。
怖くて国王軍に立ち向かうことができない自分が悔しくて悔しくてたまらなかった。
だからこそあんな思いは二度としたくないと思い、強くなろうと決めたのだった。
ああ。私はこの日のために強くなったんだ。
そう思った瞬間、アロアは地面を蹴っていた。




