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奪われた剣③
「あれは王の剣だろ?」
「返せ」
「盗んだ物は自分の物だと勘違いでもしているのか?」
「返せ」
「嫌だね」
鼻に包帯を巻いた男の足がアーサーの腹をえぐるように蹴り上げた。
ものすごい痛みが腹から全身へ走った。
「お前を騎士団に引き渡して、報酬をもらわないといけねえからな。殺しはしねえけど」
男はまたアーサーを軽々と蹴り上げた。
アーサーは蹴られる度に息ができない。
「王様のものを盗んだ罰は受けないとなあ」
男がにやっと笑いアーサーを見下ろした。
それは相手に恐怖を植え付けさせようとする顔だった。
しかし、アーサーはそんなことに怯むような人間ではない。
自分勝手に生きてきた人生だったからこそ、自分の思い通りにならないことは本当に腹立たしかったのだ。例え、相手の方が自分より強い人間だとしても。
「返せ」
鼻に包帯を巻いた男から笑みが一瞬で消えた。男は右手でアーサーの胸座を掴み、振り上げた左手で彼の顔を殴ろうとした。
しかしその時、ドンっという大きな音が響いた。




