戦い②
◯アロア
敵がいくらなんでも多すぎる。
アロアは、アーサーとランスロットを見つめた。
いくらふたりが強くても、さすがにこの人数で国王軍を相手にするのはきつい。
「やっぱり、応援がいるわね」
そう呟いた時、アロアの動きが止まった。
いや、違う。
私たちの目的は・・・。
アロアは、足にもっと力を込めた。
地面を蹴り、叫んだ。
「私たちの目的は、ウーサー王を王位から引きずり下ろすこと。誰でもいい。はやく城へ!」
「その通りだ。アロア」
アロアの横にいつの間にかアーサーがいた。
アーサーが剣を持つ手に力を込めるのがアロアには、わかった。
「アーサー、あなた本当はわかっていたんじゃないの?」
「何が?」
「この大群を倒すことが私たちの目的じゃない。あくまで私たちの目的はウーサー王の元にたどり着くこと。そのためには、あなたのその力や、ランスロットの力だけで十分なはず」
アーサーはふっと顔に笑みを作り、持っていた剣を横に振った。
「え?」
アロアの横を大きな風が通り過ぎた。
その風は、目の前にいた国王軍の大群を一気に吹き飛ばした。
「これは」
アロアは、驚いて、アーサーを見つめた。
「ああ。私たちだけで十分だ。この戦いをするには。だが、これは、私たちだけの戦いではないだろう?」
アーサーの金色の瞳がアロアを見下ろした。
「国のために民がいる。知って欲しかった。考えて欲しかった。この王国の未来を。だからあの放送をした。共に戦うことに意味がある。人員は、必要だ」
アロアは、アーサーをじっと見つめた。
アーサーが反乱軍の協力を断ったのは、反乱軍の力を借りたくなかったからだと思っていた。
でも、それだけじゃなかった。
反乱軍じゃなくて、もっと誰がこの戦いに協力すべきなのかわかったからだ。
「行くぞ、アロア」
アロアは、ぐっと足に力を込める。
「ええ」
アロアとアーサーは、地面を蹴る。城へ向かって。