戦い
◯アーサー
アーサーは、剣を持つ手に力を込めた。
あの時と同じようにアーサーの体は導かれるように動いた。
飛んでくる弾丸を、選定の剣が次々と斬っていく。
アーサーは地面を蹴り、国王軍の前へと飛び出した。
「行くぞ」
剣を振り回し、風のようにアーサーは走った。
襲いかかってくる兵士は次々と倒れていく。
まるでアーサーが通っただけで倒れていくように。
◯ランスロット
これが選定の剣の力。
王の力なのか。)
ランスロットは、一瞬あっけにとられてアーサーの戦いを見つめていたが、すぐに我に返った。
「アーサーに続け!」
ランスロットも、地面を足で蹴り、敵の大群へと向って行く。
◯ボーマン
王子の奴、めちゃくちゃ強くなってるじゃねえか。
ボーマンは、必死に応戦しながらも、アーサーの戦いぶりに驚きを隠せなかった。
すごい、もう敵をこんなにもやっつけちまったのか。
そりゃそうだよな。王子だけじゃねえ。
アロアもランスロットもいるんだ。
アロアは、いつものように軽々と宙に舞い、踊るように敵をやっつけいく。
ランスロットは、ひと振りで敵をなぎ倒し、ボーマンたちに道を作った。
「ははは。こいつはすげえや」
その時、ボーマンの後ろにいた国王軍の男が持っていた剣を振り下ろした。
「ボーマン、危ない!」
その声と同時に大きな爆発音が聞こえた。
◯ロッシュ
「大丈夫か?ボーマン」
ロッシュは大砲を担いで煙の中で座り込んで驚いているボーマンに駆け寄った。
「あ、ああ。助かったよ。ありがとう。ロッシュ」
「しっかし、アロアの奴、あそこまですごいとはな」
ロッシュは、アロアを見つめた。
「お前らの言うとおり、俺なんかいなくても大丈夫なのかもな」
「いや、お前がいなかったら、俺が死んでいたよ。それに、あいつら3人は、人間じゃねえし、ここにいる国王軍は、ほんの一部だ。城へ向かえば向かうほど、もっとたくさんの国王軍が待ち構えている」
ロッシュの、青い瞳が高くそびえ立つ城を見つめた。
「じゃあ、やっぱりどうしても助けがいるんだな」
アーサーの呼びかけに何人が応じてくれたのだろうか。
もし、誰もいなかったら?
ロッシュは首を振った。
今はそんなこと考えたらだめだ。
「行こう。ボーマン」
ロッシュは、ボーマンに手を差し伸べた。ボーマンはロッシュの手を掴み立ちがり、ふたりは城へ向かって走り出した。