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ガウェインへの言葉
◯アーサー
「さっき、グウィネヴィアがお前に聞きかけたこと、なんとなくわかる」
ランスロットは、隠れ家へもどるグウィネヴィアの背を見つめながら、アーサーにそう言った。
「なんのことだったんだ?」
「ガウェインのことだよ。自分のために生きてくれって言葉、本当はガウェインに一番伝えたかった言葉じゃないのか?」
アーサーは、ぎゅっと唇を噛み締めた。
「ランスロット、貴様ならどう思う?もし、ガウェインに」
「それでも、あいつは、ここにいなかった」
アーサーは、驚いてランスロットを見つめた。
「いなかったよ。何を言っても、あいつは同じ道を選ぶ。あいつは、そういうやつだ。それは、お前が一番よく知っているだろう?」
アーサーは、ああと呟いたが、その声は、震えていた。
「ランスロット」
「何だ?」
「私は、貴様らと出会えて本当によかった」
ランスロットは、微笑んだ。
「俺もだ。俺も心からそう思うよ。アーサー」