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別れ
◯グウィネヴィア
「アーサー」
グウィネヴィアの声でアーサーは振り向いた。
「私は、トリスタンとイズーを連れて、隠れ家に戻るわ」
「そうか。わかった。ランスロットの騎士団員を護衛につける。気をつけろよ」
「ええ。ねえ、アーサー、ひとつ聞きたいんだけど」
「なんだ?」
「さっきの言葉って」
グウィネヴィアは少し考えてから首を振った。
「いえ、やっぱりいいわ」
アーサーはきょとんとした顔をした。
「あなたが、無事に帰ってきてから聞くことにする」
グウィネヴィアは、アーサーを抱きしめた。
「どうかご無事で。アーサー王」
「ああ。必ず王になって戻ってくる」
「おい、グウィネヴィア、時間だぞ」
そう言ったのは、むすっとした顔のランスロットだった。
グウィネヴィアはくすっと笑ってランスロットへ駆け寄った。
「ランスロット、アーサーを頼んだわよ」
「俺は、騎士団の団長だ。アーサーを死なせるわけが」
グウィネヴィアはランスロットを抱きしめた。
「絶対無事に帰ってきて。ランスロット」
ランスロットも、グウィネヴィアを強く抱きしめる。
「必ず帰るよ」