反乱の作戦②
夕方、アロアとロッシュが座っていた庭のベンチにアーサーはいた。
そこで、じっと星空を見つめていた。
「ここからじゃあんまり見えないでしょ」
アーサーは、夜空を見上げたまま、ああと答えた。
アロアはアーサーの横に座り、同じように夜空を見上げた。
「私の村から見る夜空はとても綺麗なのよ」
アーサーは視線を空から地上に戻した。
「アロア、貴様は、父親に会うべきだ」
「何も知らないくせにそんなこと言うのね」
「何も知らないが、これだけはいえる」
アーサーは、アロアを見つめた。アロアも青い瞳でアーサーを見つめ返した。
「貴様こそ逃げている」
「私が?何から?」
「貴様の父親から」
アロアは、目を見開いた。
「貴様はまだ父親を許せずにいる。それは、貴様が私に言ったように自分で決めたことから逃げているだけではないのか?」
「アーサー、あなたはこう言いたいのね、ネロが死んだことを父のせいにして私は逃げているって」
「やはりロッシュから全て聞いたのだな」
「ええ。父に会ったらしいわね」
アロアは自分の言葉がすごしとげとげしくなっていることに気が付いていた。
だが、言葉は止まることはなかった。
「確かに私は、父を恨んでいたわ。ネロが死んだのは父が冷たい態度をとったせいだと思っていたから。でも、今はもう何も思ってない」
真っ赤な嘘をついたアロアは、思わずアーサーの金色の瞳から目をそらしていた。
「じゃあ、なんで会いに行かない?」
アロアは答えない。
「貴様の父は、間違っていない」
アロアは、驚いてアーサーを見つめた。
どうして?
そう思ったが、言葉に出なかった。さっきついた嘘がその言葉を追いやったからだ。
「アロア、理由は、後で貴様に聞かせる」
アロアの疑問に答える様にアーサーはそう言って立ち上がった。
「だから、今は黙って私の作戦に協力してくれ」