旧王族のグウィネヴィア②
グウィネヴィアがあまりもあっさりそう断言するものだから、背筋の良い男は驚きすぎてなかなか言葉がでなかった。
「な、な、なにをおしゃって・・・ウーサー王が偽物なはずが。ただの噂ですよ・・・ね?」
グウィネヴィアはきょとんとした表情で男を見た。
「あら、ランスロットから何にも聞いていないの?」
「私は手紙を届ける役目を仰せつかっただけで」
「まあそうだったの?私のところに使いをよこすなんて初めてだったからあなたはかなり信頼されている部下なんだと思っていたわ」
「私はただ城内に友人がいないためこの仕事を任されただけです」
「へえ。最近配属されたばかり?」
「ええ。王様の御眼鏡に叶いまして・・・」
「ふーん」
男がじっとグウィネヴィアを見つめた。
グウィネヴィアは、男と視線を合わさず、窓の外を見つめた。
長い沈黙が続いた。
時計の針の進む音しか聞こえない室内。
男は相変わらずグウィネヴィアをじっと見つめ、グウィネヴィアは窓を見つめる。
遂に耐え切れなくなって口を開いたのは窓を見つめていた方だった。
「さっき言ったことは嘘よ。城内で流れている噂はデマだわ」
「しかし、先ほどグウィネヴィア様ははっきり断言されました。噂は本当だと」
「あれはつい会話の流れで・・・」
男がまたじっとグウィネヴィアを見つめ始めた。
グウィネヴィアは、はあっと大きなため息をついた。
「もう。わかったわ。だからそんな怖い顔で睨まないで!」