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ALOISE(アロア)  作者: 十八谷 瑠南
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反乱の作戦

◯アロア

「今から城内にある放送室を襲う」

アーサーのその言葉にリビングにいたグウィネヴィアとランスロット以外のメンバーは、きょとんとした顔をした。

「放送室?なんで放送室を襲うんだ?」

そう言ったのは、ボーマン。

「城内の放送室はこの都から小さな村まで全てに放送ができるようになっている。そこから呼びかけるんだ」

「何を?」

「反乱を共に起こそうと」

ボーマンは驚いて言葉が出てこなかった。

もちろんアロアもロッシュもトリスタンとイズーも。

「ランスロットが騎士団にいた時に、人員を確保してくれているが、王の大軍に抵抗できるほどの人数は私たちにはいない。だから、こうして呼びかけることにした」

「でも」

アロアがじっとアーサーを見つめた。

「呼びかけるにしても、いつ、どこで、何をするか、その放送で言ってしまえば、ウーサー王に全て筒抜けよ」

アーサーは頷いた。

「だから反乱を起こすのは、放送終了後だ」

アロアたちは言葉を失った。

「全国民に放送後すぐ、私たちは、城を襲う。幸い、放送室は城内にあると言っても、ウーサー王や国王軍のいる城からはかなり離れた場所にある。だからすぐには、駆けつけることができない。その間に、王都にいる者や王都の近くの町や村にいる者で共に協力してくれるなら、放送を聞いてすぐに駆けつけてくれるはずだ。つまり」

アーサーの金色の瞳が光った。

「反乱は、今日の夜中決行する」

以上だと言って、アーサーはリビングを出て行った。

アーサーの気迫がまだ残っていたせいか誰もしばらく何も言わなかったが、ロッシュがようやく口を開いた。

「今日、反乱を起こすなんてあいつどうしちまったんだ?」

確かに。

アーサーは王の素質を取り戻したとはいえ、この決断は無謀すぎるような気がする。

「アロア、みんな、少し私の話を聞いてくれない?」

動揺するアロアたちにグウィネヴィアは優しく話しかけた。

そういえば、グウィネヴィアとランスロットはあまり動揺してなかったみたい。

「実はさっき反乱軍を名乗る男に墓地で出会ったの」

「反乱軍!?」

アロアとボーマン、トリスタンとイズーが同時に驚きの声を上げた。

ロッシュはひとりきょとんとし顔で4人を見つめた。

「お前ら、何をそんなに驚いているんだ?」

「あいつらは国王軍と同じぐらい最低なのよ」

「トリスタンとイズーはあいつらのせいで大変なことになったんだ」

グウィネヴィアが頷いた。

「ええ。アーサーから話は聞いたわ。あなたたちはひどい目にあったそうね」

トリスタンとイズーは、ぎゅっと唇を噛み締めてグウィネヴィアを見つめた。

「あいつらは、グウィネヴィアたちに何て言ったんだ?」

「協力したいと言ってきた」

ランスロットはそう言ってソファーから立ち上がった。

「反乱軍の情報網と人員があれば、十分、ウーサーの国王軍に対抗できると言われてな」

「嫌だ!あいつらと一緒なんて」

イズーが叫んだ。

トリスタンは何も言わなかったが、イズーと同じ気持ちでいるのがアロアにはわかっていた。

「ああ。わかっている、だから、アーサーは断った」

え?と小さな声を出してトリスタンとイズーはランスロットを見つめた。

「人を利用するような奴らとは組みたくはないと言ってな。あんなに怒ったアーサーは、初めて見た」

アロアとイズーは目を合わせた。

初めてじゃない。初めて反乱軍と会った時もアーサーはとても怒っていた。

あの時は本当にアーサーが恐かった。

「あの王子が、トリスタンとイズーのために断るなんて」

信じられないという風にボーマンは笑いだした。

「本当にあいつ変わったんだな」

グウィネヴィアは首を振った。

「いいえ。変わったんじゃない。戻ったのよ」

ボーマンは一瞬驚いた顔をしたが、グウィネヴィアの微笑みを見て、そうかとつぶやいた。

「だから、人員の確保のためにこんなやり方をすることにしたのね」

アロアはそう言ってリビングを飛び出した。


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