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アロアは許せない
◯ロッシュ
庭にひとり、残されたロッシュは、ふうっと息を吐いて、空を仰いだ。
もう日は沈み、薄明るい空に一番星が瞬いていた。
やっぱり、だめか。
アロアはまだ
「ロッシュ、そこで何をしている?」
アーサーとグウィネヴィア、もうひとり背が高くがっちりとした体格の男が家の前に立っていた。
アーサーはふたりに先に入っててくれと言うと、ロッシュのいる庭へと足を踏み入れた。
「あれがランスロットか?」
「ああ」
「じゃあ仲直りしたんだな」
ロッシュはアーサーに、にっと笑った。
ロッシュはここに向かう馬車の中で一年前アーサーたちに何があったのか聞いていた。
「貴様は?アロアに話したのか?」
「ああ。でもさ、アロアはまだ許せねえみたいだ。旦那のこと」
アーサーはそうかと小さく呟いた。
「ま、わかっていたことだ」
「あきらめるのか?」
「それはない」
ロッシュの即答にアーサーは拍子抜けしたような顔をしたが、ふっと笑った。
「なら貴様にも手伝ってもらうぞ。ロッシュ」
「手伝う?」