アーサーの戦い
◯アーサー
アーサーは、懐にある剣の柄に触れた。
なぜだ。
あれほど剣を使うなと言っていた貴様がなぜ?
アーサーは、アロアをすがるように見つめた。
アロアの目の前にいる国王軍は銃を構えて、今にも引き金を引いてもおかしくない状況だった。
きっと私の背後に迫っていた国王軍も銃を構えているのだろう。
時間がない、という思いとともにアーサーは時間が止まったようにも感じた。
だが、剣は折れている。
それでも
アロアは相変わらず微笑んでこちらを見つめている。
( それでも、この剣で助けろと言うのか?アロア。
アーサーはこちらを見つめるアロアの姿がガウェインの姿に見えた気がした。
そうだ。
私は、決めたのだ。
もう逃げないと。
アーサーは、走り出していた。
アロアの目の前で強く地面を蹴り、高く飛び上がった。
そして、剣の柄を握ると懐から剣を引き抜き、そのまま、振り下ろした。
国王軍たちは、アーサーが短剣か拳銃でも取り出す気でいるのだろうと思っていた。
だが、彼らが目にしたのは、大きな刃のついた剣を振り下ろすアーサーだった。
国王軍たちは、目の前の光景に驚いて身動きひとつ取れなかった。
アーサーは、振り下ろした剣であっけにとられる国王軍たちを斬り倒した。
アーサーが着地する小さな足音が聞こえたかと思うと、アーサーはそのまま、剣を風のように振り回した。
周りにいた残りの国王軍は叫び声ひとつあげずに倒れていく。
アーサーは剣を見つめた。
折れたはずの刃はまるで折れたことなどなかったようにまっすぐに透き通り、光を放っていた。
刃が戻っている!?
そして、アーサーはまた走り出し、地面を蹴っては、飛びあがり、国王軍たちの頭上で剣を振りかざし、次々と斬り倒して行く。
まるで、ずっと昔から戦い方を知っていたようにアーサーの体は動く。