旧王族のグウィネヴィア
◯グウィネヴィア
渡された手紙を読んでグウィネヴィアは涙を流した。
そうか。ガウェイン、ランスロット。あなたたちは、決めたのね。
アーサーを支えるって。
それにしても剣が見つかってよかった。
でも、あのアーサーがひとりで逃げるなんて・・・大丈夫なのかしら。
「あの、グウィネヴィア様?」
グウィネヴィアは涙を拭った。
「ごめんなさい。つい涙がこぼれてしまって」
手紙を届けに来た背筋のよい男にグウィネヴィアは微笑んだ。
男はグウィネヴィアの美しい顔に照れて背筋が縮こまった。
「ランスロット団長にご返事を書かれますか?」
「ええ。もちろん。でもその前に、城内が今どうなっているか教えてくれない?王子が逃亡して、荒れているのでしょう?」
「はい。城内は大荒れです。ただ、王子が逃亡したことは、城内の人間と王都の一部の貴族、そして騎士団にしか知らされておりません」
「じゃあ私は知ってはいけない情報だったかしら?」
「いえ!そのようなことは!グウィネヴィア様は先代の王のご息女でおありの旧王族の方ですから、むしろ知っていて当然というか、知っていただきたいというか、ええっと」
グウィネヴィアは吹き出した。
「わかったわ。わかったから。あなた、おもしろいのね」
「い、いえ、そのような」
男はさらに背筋が縮こまった。
「しかも城内では現王が偽王ではないかという噂も飛び交っていまして」
男はしまったという顔をした。
「し、失礼しました。王を侮辱するようなことを」
グウィネヴィアはふっと微笑んだ。
「大丈夫よ。本当のことだもの」