イグレーヌ
◯アロア
イグレーヌ?
アロアも真剣にグウィネヴィアを見つめるランスロットが何を言いたいのかわからなかった。
その名前に何かあるの?
「イグレーヌって花の名前よ?ガウェインのお墓にお供えした花の名前」
そのグウィネヴィアの言葉を聴いてランスロットは拍子抜けしたような顔をした。
「花の名前?そうか、アーサー王、花にその名前をつけたのか」
「ランスロット、イグレーヌって名前、花の名以外に何かあるの?」
そう言ったアロアにランスロットは頷いた。
「イグレーヌは、アーサーの母親の名前だ」
「え?」
アロアもボーマンもトリスタンも驚いて同時に声を上げた。
グウィネヴィアは少し考えたあと、ああ、そうだったわねと思い出したように言った。
「イグレーヌ。聞いたことあると思っていたのよ。王妃の名前だったわね」
「じゃあ、自分の女の名前を花につけたのか?いてっ!」
アロアがトリスタンをつねった。
「王妃と言いなさい。トリスタン。そういえば、王妃ってもうずっと前に亡くなったのよね?確か、病気で」
「ええ、そうよ。まだアーサーが3歳の頃にね。でも、アーサーが今まで生きてこられたのは、イグレーヌ王妃のおかげなのよね」
アロアは不思議に思った。
3歳の頃に亡くなっているのに王妃のおかげでアーサーは今生きてる?
「どうゆうこと?」
グウィネヴィアは少し顔を俯けて、持っていたカップの中を見つめた。
「それには少し、順を追って話さないとだめね」
グウィネヴィアはカップを机に置き、まっすぐアロア、トリスタン、ボーマンを見つめた。