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わがまま王子は信じない②
◯アーサー
アーサーは誰もいない夜の街をあてもなく走っていた。
あの女・・・嘘まで付いて私に恩を売りつけたかったのだな。
ある程度走るとアーサーは疲れて、俯き、膝に手をついて息を吐いた。
こんなところにはいたくない。
どの街に行っても相手にされず、冷たく扱われていたアーサーは、かつていた友が恋しくてたまらなかった。
一年前、今と同じように城を飛び出したアーサーだったが、あの時は友が3人もいた。
ガウェイン。貴様ならどうする?
かつての友にアーサーは問いかけた。答えなど返ってくるはずもないのに。
「こんなところにいたんだな?探してたんだぞ?」
アーサーははっと顔をあげた。
そこには、鼻に包帯を巻いた男が立っていた。
しまったとアーサーが思った時にはもう遅かった。
頭に雷が落ちたような衝撃が走って、そのまま目の前が真っ暗になった。