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あの時の気持ち
◯グウィネヴィア
「ウーサー王、お止めください。このような公共の場で殺生など」
ウーサー王は、グウィネヴィアを睨みつけた。
「貴様、なぜ、ここに?」
「久しぶりに王都を訪ねていたのです。ここも偶然通り」
「旧王都から出るなと申したであろう?私の命令を守れんのか?」
ウーサー王は、グウィネヴィアの言葉を遮った。
グウィネヴィアは答えようとして口を開いたが、その時ランスロットを一瞬見つめた。
グウィネヴィアを見つめるランスロットの瞳を見て、グウィネヴィアはランスロットがまだ迷っていることを察した。
ここで言い逃れはいくらでもできる。
でも、今ここで行動を起こさないときっともう機会がない。
ランスロット、今こそ決断の時よ。
「陛下」
グウィネヴィアはウーサー王に微笑んだ。
ランスロット、忘れているはずがないわよね?
あの時の気持ち。
もし、今、その気持をおしこめているなら、私が、今ここで引き出すだけよ。
「では、ここで私を殺しますか?」




