ウーサー王との対面②
「全く。困ったものだ」
ウーサー王は大きなため息をついた。
「我が国の民は一体いつからこんな貧乏人ばかりになってしまったのだ?」
アロアはその言葉を聞いて、体の奥から熱いものがこみ上げてきたのを感じた。
一体、誰のせいで?
誰のせいで・・・
アロアの青い瞳にネロの死に際の顔が浮かんだ。
「お言葉ですが、国王陛下」
アロアはウーサー王を見つめた。
いや、睨みつけた。
かつて、命を助けくれたシスターを睨みつけた時よりも鋭く、深く。
「民が貧乏なのは、誰のせいとお思いですか?」
横にいたボーマンがアロアに何か言ったが、アロアには聞こえない。
彼女はかつてないほどの怒りに満ち溢れていた。
ウーサー王はそんなアロアをまるで汚いものでも見るかのように見下ろした。
「貴様、誰に向かって口を聞いておる?」
アロアたちを囲む国王軍がアロアに銃を突きつけた。
「罪人が!国王陛下の御前でなんたる無礼な!黙らんか!」
「まあ、よい」
ウーサー王が、にっと笑った。
「誰のせいかと申したな?」
アロアは、ウーサー王を睨みつけたまま動かない。
「そんなことわかりきっておるではないか」
ウーサー王が次の言葉を発するよりもアロアの鋭い蹴りの方が早かった。
横にいたボーマンも、周りを囲む国王軍も、ランスロットですら何が起きたのか分からなかった。
「と、取り押さえろ!」
国王軍のひとりが叫んだ。
アロアとボーマンは地面に押さえつけられた。
「貴様・・・!」
ウーサー王は、鼻から血を流しながら、アロアを睨みつけた。
地面に押さえつけられたアロアはつぶやいた。
「1回でいい」
「え?」
ボーマンはきょとんとした顔でアロアを見つめた。
「1回いいからあいつの顔を殴りたかったの」