逃走中の再会②
状況がわかっていなトリスタンの腕をボーマンは無理矢理引っ張って行った。
「アロア、お前、国王軍に捕まったんだよな?」
そう尋ねたのはボーマン。
「ええ。そうよ。それで、王様の前に連れて行かれてね。殺されそうになったの」
「え!?」
ボーマンとトリスタンが同時に声を上げた。
「それで玉座の間から今逃げ出してきたところ」
「お前、会ったのか?ウーサー王に」
「ええ。会ったわよ。でも、顔は遠すぎて見えなかった」
威厳なんてなかった。
ただの我儘な王様にしか見えなかった。
「そっちは?グウィネヴィアには会えた?」
「これから会いに行く予定だったんだよ」
「何ですって?」
アロアは立ち止まった。
「じゃあ、ここにいたら駄目じゃない」
「ああ。でも、お前が逃げてる姿見てたらほっとけなくてな」
「駄目よ。私たちの作戦にはグウィネヴィアの協力が絶対必要なんだから」
ボーマンがため息をついた。
「おい、そんなこと今言ってる場合じゃないだろ?ほら、早く逃げないと国王軍が」
「でも、せっかくのグウィネヴィアに会うチャンスが」
「そこまでだ。シスター アロア」
アロアが後ろを振り向くと路地裏の影にランスロットが立っていた。
「ランスロット」
ランスロットの後ろには数人の国王軍がいた。
国王軍たちは、銃をアロアとボーマン
につきつけながら円になり、アロアたちを囲んだ。
ランスロットは腰にぶら下げていた剣を引き抜いた。
「今なら命は取らない。おとなしく降伏しろ」
「嫌よ」
「お、おいアロア」
ボーマンがアロアに耳打ちをした。
「とりあえずここは降伏しておいた方がいんじゃなのか?」
「気づいてないの?ボーマン」
「え?」
ボーマンはあたりを見回して、ああと小さくつぶやいた。