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逃走中の再会
◯アロア
アロアは王都の大通りを駆け抜けていた。
だが、思うようにスピードが出ない。
この手錠、本当に邪魔だわ。
後ろからは、国王軍の兵士が追いかけてくる。
アロアはきょろきょろとあたりを見渡したが、どこに逃げ込めばいいのかも全くわからない。
5年前、ネロとロッシュといつか王都に行ってめいっぱい遊ぼうと約束したなあとアロアは呑気に思い出していた。
こんな形で王都に来ることになるなんて。
「アロア!」
アロアは、はっと我に返って、声のした方を見つめた。
そこには、息を切らしたボーマンが立っていた。
「お前、一体何やって」
ボーマンはアロアの手にはめられた手錠とアロアの背後に迫ってくる国王軍の男たちを見て察したようだった。
「こっち来い!アロア」
アロアはボーマンのいる路地裏へ駆け込んだ。
「道、わかるの?」
「そりゃ長いことここにいるからな」
するとアロアの目にこちらに駆けてくるトリスタンの姿が目に入った。
「おい、ボーマン!お前なんで急に走り出してって、アロア!?」
「トリスタン、逃げるわよ」
「え?」