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アロアの逃走②
◯ランスロット
ランスロットは少し遅れてから玉座の間を飛び出した。
遠い玉座に座るウーサー王が何か叫んでいたが、ランスロットは構わなかった。
廊下に出ると、もうアロアの姿はなかった。
あいつはうまく逃げたのだろうか。
「団長」
ランスロットの後ろに背筋をピンと伸ばした男が立っていた。
「ウーサー王がお呼びです」
ランスロットは心配そうに顔を向ける男の肩をポンと叩き、玉座の間へ戻って行った。
ランスロットは、玉座の側に寄り、ひざまずいた。
「お呼びでしょうか?陛下」
ウーサー王が手に持っていた金色のグラスをランスロットに投げつけた。
「貴様!逃がしおったな!」
「いえ、決してそのようなことは」
「では、捕まえろ。そして私の前に連れてくるのだ」
ウーサー王はまた笑いだした。
「私は見たいのだよ。ランスロット。王である私に逆らった者が死ぬところを」
ランスロットの腕がまた震えた。
「はやく見つけるのだ。よいな?」
「はっ!」
ランスロットはそう言うと、玉座の間を出て行った。