王都へ
◯アーサー
「お、王子?王?な、何言ってんだよ」
「ロッシュ。私と共に来い。アロアの元へ向かう」
そう言ってアーサーは、ロッシュの横を通り過ぎた。
「お、おいもっとちゃんと説明しろって」
「俺も!兄さんのこともっとちゃんと知りてえな」
アーサーは驚いて声のした方を見つめた。
「イズー!?」
木の後ろからイズーがひょこっと顔を出した。
「よっ!兄さん、久しぶり!」
「なぜ貴様がここに」
「アロアの姉さんに言われたんだよ。兄さんの後を追えって。それで実は隣村の時に追い付いてたんだけど」
イズーはにやっと笑った。
「なんだか面白そうなことしてるなって思ってここまでつけてきたってわけ」
「アロアが?」
そう言ったのはロッシュ。
「この剣を届けて欲しいって」
イズーは担いでいた荷物から布でぐるぐる巻きにした剣を取りだした。
剣と言っても刃が折れたため、短剣の大きさになっていたが。
「選定の剣か」
アーサーは剣の柄をぎゅっと握り締めた。
「イズー、アロアたちはどこにいる?」
「王都に向かったよ。王都で反乱を起こすって言ってた」
「王都で反乱を?無謀すぎる」
「えっとたしかランスロットとグウィネヴィアに協力してもらうって言ってたような」
「何?」
グウィネヴィアはともかく、ランスロットに?
アロア、一体何を考えている。
アーサーはアロアの言葉を思い出した。
“うーん。うまく言えないけど、悪い振りをしているというか・・・”
本当に信用できるのか?
「とにかく・・・私たちも王都に向かうぞ」
「おい待てよ」
ロッシュがアーサーの左肩を掴んだ。
「俺、まだ全然理解できてねえんだけど。アロアは一体何をする気なんだ?お前もこれから何を」
「このお兄さんの言うとおり」
イズーはロッシュの言葉を遮った。
「俺もだよ。俺も訳わからないことばっかり、まだまだ知らないことばかりだから教えて欲しいんだ。なんでアーサーの兄さんがリーダーに斬りかかったのかもよくわからねえし」
確かに。
トリスタンとイズーは何も知らないままだったな。
アーサーはロッシュとイズーを見つめた。
「わかった。王都に向かう間に全て話そう」